この記事は、「チルゼパチド」という名前を見かけて、何の薬なのか知りたい方に向けたものです。特にBMIが27以上で、肥満症治療の選択肢を調べている30〜50代の方を想定しています。
「ゼップバウンドとマンジャロは同じ薬なの?」と疑問に思ったことはありませんか。どちらも有効成分はチルゼパチドです。ただし、国が承認した適応(使ってよい病気)は異なります。
この記事では、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の電子添文と最適使用推進ガイドラインに書かれている内容をもとに、成分と適応の違いを整理します。
チルゼパチドとは何か、商品名ゼップバウンド・マンジャロの適応の違い、承認時期、用量、個人輸入のリスクを電子添文に沿って解説。肥満症治療を検討する方は医師へ相談を。
医療監修
肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。
本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。
公開日: 2026-11-05
この記事は、「チルゼパチド」という名前を見かけて、何の薬なのか知りたい方に向けたものです。特にBMIが27以上で、肥満症治療の選択肢を調べている30〜50代の方を想定しています。
「ゼップバウンドとマンジャロは同じ薬なの?」と疑問に思ったことはありませんか。どちらも有効成分はチルゼパチドです。ただし、国が承認した適応(使ってよい病気)は異なります。
この記事では、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の電子添文と最適使用推進ガイドラインに書かれている内容をもとに、成分と適応の違いを整理します。
チルゼパチドは、GIP/GLP-1受容体作動薬に分類される注射薬の成分名です。週1回、自分で皮下に注射して使います。
GIPとGLP-1は、食事をとると腸から出るホルモン(インクレチン)です。主に次のような働きを持っています。
チルゼパチドは、この2つの受容体(ホルモンを受け取る部分)の両方に作用します。GLP-1だけに作用するセマグルチド(ウゴービなどの成分)と比べたときの、大きな違いがこの点です。
作用の仕組みや臨床試験での体重変化は、比較記事で詳しくまとめています。
薬には2種類の名前があります。
同じ一般名でも、商品名が違えば承認された適応や用量が異なることがあります。チルゼパチドがまさにその例です。
日本で承認されているチルゼパチド製剤は、ゼップバウンドとマンジャロの2つです。どちらも日本イーライリリーの製品です。
| 項目 | ゼップバウンド | マンジャロ |
|---|---|---|
| 一般名 | チルゼパチド | チルゼパチド |
| 主な適応 | 肥満症/中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群 | 2型糖尿病 |
| 投与方法 | 週1回の皮下注射 | 週1回の皮下注射 |
| 位置づけ | 肥満症治療薬 | 糖尿病治療薬 |
成分は同じでも、マンジャロは肥満症の薬として承認されていません。この点が最も大切な違いです。
ブランドごとの詳しい比較は、次の記事をご覧ください。
チルゼパチドは、ゼップバウンドが肥満症と中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)、マンジャロが2型糖尿病の治療薬として承認されています。日本での承認の流れは次のとおりです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2022年9月 | マンジャロが2型糖尿病の治療薬として承認 |
| 2024年12月 | ゼップバウンドが肥満症の治療薬として承認(販売開始は2025年4月) |
| 2026年5月 | ゼップバウンドに中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の効能を追加(BMI27以上) |
ゼップバウンドの肥満症の効能には条件があります。電子添文「4. 効能又は効果」(2026年5月の改訂で変更)では、次のように定められています。
※出典:ゼップバウンド電子添文(2026年9月改訂 第6版)
つまり、「少し体重を減らしたい」という目的で使う薬ではありません。
ここで、「肥満」と「肥満症」の違いを確認しておきましょう(日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」)。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、睡眠中に空気の通り道がふさがり、呼吸が止まる病気です。
なお、スリマルで処方の対象としているのは肥満症のみです。OSAの治療は行っていません。いびきや日中の強い眠気が気になる方は、睡眠の専門医療機関にご相談ください。
チルゼパチド製剤は、週1回、同じ曜日に自分で皮下注射します。ゼップバウンドの場合、注射する部位はおなか・太もも・上腕で(14.2)、1回使い切りの注入器(アテオス)を使います。
電子添文では、肥満症の場合 週1回2.5mgから開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量して週1回10mg を使うと定められています。患者さんの状態に応じて、週1回5mgまで減らしたり、4週間以上の間隔で週1回15mgまで増やしたりできます。用量の規格は2.5mg・5mg・7.5mg・10mg・12.5mg・15mgの6種類です(詳しくはゼップバウンドの用量)。
最初から高い用量にしないのは、吐き気などの胃腸の副作用を抑えるためです。どの用量で続けるかは、効果や副作用を見ながら医師が判断します。
マンジャロも2.5mgから開始します。ただし糖尿病の治療薬として、血糖コントロールを目的に用量が決められています。肥満症治療の用量とは位置づけが違います。
チルゼパチドは処方薬です。効果がある一方で、副作用にも注意が必要です。
嘔吐を伴う激しい腹痛が続くなどの症状が出たら、使用を中止してすぐに医師に相談してください。詳しくはゼップバウンドの副作用をご覧ください。副作用の出方には個人差があります。必ず医師の診断・管理のもとで使用します。
電子添文では、次の方には投与しないと定められています。
授乳中の方や、心臓・腎臓の病気がある方なども、処方できるかどうかは医師の診断が必要です。
チルゼパチドは「やせ薬」ではありません。美容目的や、見た目のためのダイエットに使う薬ではない点を押さえておきましょう。
マンジャロは2型糖尿病の治療薬です。肥満症の薬として承認されていません。減量目的で使うことには、次のようなリスクがあります。
オゼンピックやリベルサスなど、ほかの糖尿病薬でも同じことが言えます(マンジャロダイエットの危険性)。
海外からの個人輸入は、本人が使う目的で決められた数量の範囲内であれば、それ自体は違法ではありません。ただし、次のリスクがあります。
一方、フリマアプリやSNSでの個人間売買、処方薬を他人に譲ることは違法です(厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」)。手を出さないようにしましょう。
チルゼパチドで肥満症を治療するには、医師の診察で肥満症と診断され、処方を受けることが必要です。
スリマルの治療対象は、次の条件を満たす方です。
次の方は処方の対象外です。
BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で計算できます。たとえば身長165cm・体重74kgなら、BMIは約27.2です。
スリマルはオンライン診療専門のサービスです。対面での診療は行っていません。診察はZoomで行います。
医師が問診の内容と診察をもとに、処方できるか、どの薬・用量が適切かを判断します。スリマルでは、ゼップバウンドとウゴービの両方を処方しています。どちらが良いかは、持病や体の状態をふまえて医師と相談して決めます。
スリマルの治療は自由診療のため保険適用外で、全額自己負担です。ゼップバウンドの料金(1ヶ月分・税込)は次のとおりです。
| 用量 | 料金 |
|---|---|
| 2.5mg | ¥36,410 |
| 5mg | ¥55,435 |
| 7.5mg | ¥78,271 |
| 10mg | ¥109,868 |
| 12.5mg | ¥126,500 |
| 15mg | ¥151,800 |
ゼップバウンドを保険診療で使う場合、施設や医師の要件、栄養指導など厳しい条件があります(チルゼパチドの最適使用推進ガイドライン)。スリマルはこれらの要件を満たした保険診療ではなく、自由診療として提供しています。
肥満症治療の基本は、食事療法と運動療法です。薬はそれを補う選択肢の一つです。体重の変化には個人差があり、副作用が出ることもあります。
医師と相談しながら、無理なく継続できる生活習慣を一緒に見直していくことが、長い目で見た体質改善につながります。
「自分が肥満症治療の対象になるのか知りたい」と感じたら、まずは医師に相談してみませんか。スリマルでは、オンライン診療で医師が状態を確認し、治療が適しているかを一緒に考えます。副作用やリスクの説明も診察の中で行います。
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。