STEP試験とは何か?
STEP試験(Semaglutide Treatment Effect in People with obesity)は、セマグルチドの肥満治療効果を検証した臨床試験シリーズです。
ノボ ノルディスク社が実施し、2021年に主要結果が発表されました。各試験の主要結果は以下の論文に基づきます。
- STEP 1:Wilding JPH, et al. _N Engl J Med_ 2021;384:989-1002
- STEP 2:Davies M, et al. _Lancet_ 2021;397:971-984
- STEP 3:Wadden TA, et al. _JAMA_ 2021;325:1403-1413
- STEP 4:Rubino D, et al. _JAMA_ 2021;325:1414-1425
STEP試験の主要結果
STEP 1が最も参照されやすい基準値です(個人差があります)。
糖尿病のない肥満の方がセマグルチド2.4mgを68週間(約1年4か月)使用した場合、平均で体重の14.9%減少 という結果でした。プラセボ(偽薬)群の平均は2.4%減で、推定差は約12.4ポイントでした(Wilding 2021)。
これは臨床試験での「平均値」であり、すべての利用者に同じ結果が起こるわけではありません。効果には個人差 があります。
STEP 1では、セマグルチド群の約32%が体重の20%以上 を減らした一方、10%未満の減少にとどまった人も約3割いました(Wilding 2021)。
「平均」だけでなく「分布」を知ることが、現実的な期待値を持つうえで重要です。効果実感が乏しい場合の見方はGLP-1はいつから効く?体重減少の目安で詳しく整理しています。
個人差に関わる要因
体重減少に差が出る主な要因は次のとおりです。
- 糖尿病の有無 :2型糖尿病のある方を対象としたSTEP 2試験では−9.6%でした(Davies M, et al. Lancet 2021)。試験ごとに条件が異なるため単純比較はできません
- 生活習慣との組み合わせ :集中的行動療法と併用したSTEP 3試験では−16.0%でした(Wadden TA, et al. _JAMA_ 2021)。試験ごとに条件が異なるため単純比較はできません
「自分は平均より少ないのでは?」と心配になるかもしれません。
減量幅だけで判断せず、血圧・血糖・脂質などの変化も含めて、医師と一緒に経過を確認することが大切です。
日本人での効果は?
日本人・韓国人を対象としたSTEP 6試験では、セマグルチド2.4mgで体重の13.2%減少 という結果が報告されています(出典:Kadowaki T, et al. _Lancet Diabetes Endocrinol_ 2022;10:193-206)。
欧米のSTEP 1(−14.9%)よりわずかに小さい数字です。試験ごとに対象や条件が異なるため単純比較はできません。ここでも結果には個人差があります 。