ここで重要なのは、ウゴービは 「肥満症」 の治療薬として承認されている点です。「肥満(BMI≥25 の状態)」と「肥満症(健康障害を合併する病態)」は別の概念で、ウゴービは医師の診断に基づく肥満症の方が対象となります。

ウゴービの適応(保険適用条件・施設基準・対象患者)
ウゴービの保険適用条件と適応を解説。BMI27以上で関連疾患2つ以上、またはBMI35以上の肥満症が対象。施設基準・処方条件もPMDA添付文書と最適使用推進GLに基づき整理。治療の適応は医師にご相談ください。
医療監修
肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。
本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。
公開日: 2026-04-15
最終更新日: 2026-10-26
ウゴービとはどんな薬剤か?
ウゴービ(一般名:セマグルチド)は、ノボ ノルディスク ファーマが製造販売する 週1回投与の GLP-1 受容体作動薬 です。GLP-1(食事のあとに腸から分泌されるホルモン)の働きを補い、食欲を抑えて体重減少を促します。
PMDA 添付文書に基づく「適応」とは?
ウゴービの効能・効果は「肥満症」で、BMI 27 以上かつ2つ以上の肥満関連健康障害、または BMI 35 以上が条件です。
ウゴービ皮下注の添付文書に記載された効能・効果は次のとおりです。
肥満症
ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下のいずれかに該当する場合に限る。
・BMI が 27 kg/m² 以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMI が 35 kg/m² 以上
「2つ以上の肥満に関連する健康障害」とは、耐糖能障害・高血圧・脂質異常症・閉塞性睡眠時無呼吸症候群など、日本肥満学会が定める11の健康障害のうち2つ以上を指します。
ウゴービの用法・用量はどう増やしていくのか?
0.25 mg から始め、4週ごとに段階的に増量し、維持用量は 2.4 mg/週です。
添付文書で定められた用法・用量は次のとおりです。
| 投与期 | 用量 | 期間 |
|---|---|---|
| 導入期 | 0.25 mg | 4週間 |
| 増量1 | 0.5 mg | 4週間 |
| 増量2 | 1.0 mg | 4週間 |
| 増量3 | 1.7 mg | 4週間 |
| 維持 | 2.4 mg | 継続 |
週1回、腹部・大腿部・上腕部のいずれかに 自己皮下注射 で投与します。胃腸障害などで増量が難しい場合は、医師の判断で増量スケジュールを延長することがあります。
ウゴービの禁忌(投与してはいけない方)は?
本剤の成分に対する過敏症の既往、糖尿病性ケトアシドーシス・1型糖尿病の方などは禁忌です。妊娠中・妊娠の可能性がある方にも投与しません。
添付文書に基づく禁忌は以下のとおりです。
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方
- 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、1型糖尿病の方
- 2型糖尿病の方における重症感染症、手術等の緊急の場合
また、妊娠中・妊娠の可能性がある方には投与しません。2ヵ月以内に妊娠を予定する方は投与を中止します(電子添文)。
加えて、以下に該当する方は 慎重投与または対象外 となる場合があります。
- 授乳中の方
- 重度の胃腸障害、膵炎の既往がある方
- 重症の腎機能障害・肝機能障害がある方
- 経口避妊薬・ワーファリン等を服用中の方
該当する場合は、必ず処方前の問診で医師に申告してください。
投与対象となる患者の要件
BMI 27以上+関連疾患2つ以上、またはBMI 35以上の方が対象です。加えて6か月以上の生活習慣改善で効果不十分であることが条件です。
ウゴービが保険適用となるには、以下のすべての条件を満たす肥満症患者であることを確認する必要があります。
A. 肥満度と合併症の基準
最新の診療ガイドラインの診断基準に基づき、高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれか1つ以上の診断がなされ、かつ以下のいずれかを満たす必要があります。
- BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害(例:耐糖能障害、高血圧、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群など)を有する。
- BMIが35kg/m2以上である。
B. 既存治療の実施と効果の基準
以下の適切な既存治療を、ウゴービを投与する施設において実施しても十分な効果が得られなかった患者であることが必要です。
- 適切な食事療法・運動療法に係る治療計画を作成し、その治療を6ヵ月以上実施していること。
- 食事療法に関して、この間に2ヵ月に1回以上の頻度で管理栄養士による栄養指導を受けていること。
- 合併している高血圧、脂質異常症、または2型糖尿病に対して、本剤で治療を始める前に薬物療法を含む適切な治療が行われていること
保険適用施設に求められる基準(施設要件)
処方には内科系専門医の常勤・管理栄養士による栄養指導体制・学会認定施設であることが施設要件として必要です。
ウゴービを保険診療で処方する医療機関には、以下の施設基準が求められます。
●標榜科
内科、循環器内科、内分泌内科、代謝内科、または糖尿病内科を標榜している保険医療機関であること。
●専門医の常勤
施設内に、以下の「医師要件」に掲げる各学会専門医のいずれかを有する常勤医師が1人以上所属し、本剤による治療に携われる体制が整っていること。
●栄養指導体制
常勤の管理栄養士による適切な栄養指導を行うことができる施設であること。
●教育研修施設
関連する学会のいずれかにより教育研修施設として認定された施設であること。
治療医に求められる臨床経験と専門医資格(医師要件)
担当医師は肥満症・関連疾患の5年以上の臨床経験と、指定学会の専門医資格が必要です。
ウゴービの保険適用治療を担当する医師は、以下の基準を満たす必要があります。
●臨床経験
医師免許取得後2年の初期研修を修了した後、高血圧、脂質異常症または2型糖尿病ならびに肥満症の診療に5年以上の臨床経験を有していること。または、医師免許取得後、満7年以上の臨床経験を有し、そのうち5年以上は高血圧、脂質異常または2型糖尿病ならびに肥満症の臨床研修を行っていること。
●専門医資格
高血圧、脂質異常症または2型糖尿病を有する肥満症の診療に関連する以下のいずれかの学会の専門医を有していること。
- 日本循環器学会
- 日本糖尿病学会
- 日本内分泌学会
- なお、日本肥満学会の専門医を有していることが望ましいとされています
保険診療と自由診療オンライン処方、どちらが向いている?
厳格な保険要件を満たせない場合、自由診療オンライン処方という選択肢があります。
保険適用での処方は、これまで見てきたとおり 施設基準・医師要件・6か月以上の食事/運動療法・管理栄養士による栄養指導 などの厳格な条件を満たす必要があります。これらの要件を満たす医療機関は限られており、通院や栄養指導の時間的負担も発生します。なお、オンライン診療では保険適用が成立しにくい制度上の理由は肥満外来はオンライン・保険適用で受けられる?で整理しています。
そこで、選択肢の一つとして検討できるのが 自由診療によるオンライン処方 です(受診の流れや料金はウゴービのオンライン診療まとめを参照)。スリマルでは以下のすべてを満たす方を対象に、医師がオンライン(Zoom)で診察を行っています。
- 20歳以上
- BMI 27 以上
- 医師の診断で肥満症に該当する方
ただし、以下に該当する場合は 対象外 となり、問診フォームで自動的に処方不可と判定されます。
- 20歳未満
- 初診時に BMI 27 未満
- 美容・痩身ダイエット目的の方
- 8系統の糖尿病用薬剤を服用中の方(ビグアナイド系、SU 剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系、DPP-4 阻害剤、SGLT2 阻害剤、インスリン製剤 等)
自由診療のため 保険適用外で全額自己負担 となります。料金の目安は 肥満症治療薬の費用・料金まとめ をご参照ください。
主な副作用とリスクは?
最も多いのは吐き気・下痢などの胃腸症状で、まれに急性膵炎・低血糖のリスクもあります。
ウゴービの主な副作用は以下のとおりです(添付文書)。
- 消化器症状:悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛
- 胆嚢関連:胆石症
- 代謝関連:低血糖(特に他の糖尿病薬と併用時)
- 重篤な副作用:急性膵炎、急性胆嚢炎、重度の低血糖
副作用には個人差があり、投与開始初期や増量直後に消化器症状が出やすいとされています。気になる症状がある場合は、自己判断で中止せず、必ず医師に相談してください。
記載内容は執筆時点の添付文書・公的ガイドラインに基づきますが、最新情報は各一次資料をご確認ください。
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参考文献
免責事項
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。
