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ゼップバウンド・ウゴービと妊娠・妊活・ピル|中止時期と注意点

ゼップバウンド・ウゴービ使用中の妊娠・妊活・授乳・ピルの注意点を電子添文に沿って整理。妊娠中に投与しない理由、中止時期、避妊の考え方を確認し、治療前に医師へ相談しましょう。

医療監修

肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。

本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。

公開日: 2026-11-05

この記事について

この記事は、肥満症治療を考えていて、将来の妊娠や今の避妊が気になる20歳以上の方に向けたものです。BMIが27以上で、ゼップバウンドかウゴービを検討している方を想定しています。

「治療を始めたいけれど、いつか子どもを持ちたい」と思っていませんか? 「ピルを飲んでいるけれど、一緒に使って大丈夫?」という疑問もあるかもしれません。

ゼップバウンド(一般名:チルゼパチド)とウゴービ(一般名:セマグルチド)は、週1回の自己注射で使う処方薬です。どちらも妊娠・授乳・避妊について、電子添文(医療用医薬品の公式な説明書)に注意が書かれています。

この記事では、PMDA(医薬品医療機器総合機構)が公開する最新の電子添文と、厚生労働省の最適使用推進ガイドラインに書かれている内容をもとに整理します。科学的根拠をもとに、無理なく継続できる治療計画を立てる参考にしてください。


妊娠中・妊娠の可能性がある方は使用しない

妊娠中の方や妊娠している可能性がある方には、ゼップバウンドもウゴービも投与しません。 これは医師の判断で変わるものではなく、両剤の電子添文に「投与しないこと」と書かれています(9.5 妊婦)。

その背景には、動物実験で胎児への影響(骨格の異常など)が報告されていることがあります(両剤 9.5)。

次のような場合は、自己判断で注射を続けず、すぐに処方した医師へ連絡してください。

  • 生理が予定より遅れている
  • 妊娠検査薬で陽性が出た
  • 妊娠の可能性に心当たりがある

また、両剤には次の 禁忌(使ってはいけない方)が定められています。

  • 薬の成分で過敏症(アレルギー反応)を起こしたことがある方
  • 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡・前昏睡、1型糖尿病の方
  • 2型糖尿病があり、重い感染症や手術などの緊急時にある方

妊活中はいつやめる?(中止から妊娠までの考え方)

妊娠を計画しているなら、妊活を始める前に医師と中止のタイミングを決めることが大切です。 「妊娠がわかってからやめればいい」とは考えないでください。

ウゴービは「2ヵ月以内に妊娠を予定」で中止

ウゴービの電子添文(9.4 生殖能を有する者)には、2ヵ月以内に妊娠を予定している女性では投与を中止すると書かれています。週1回の注射で効果が続く薬のため、妊娠を考えるなら早めに計画しておく必要があります。

ゼップバウンドは「投与中と最終投与後1ヵ月間」の避妊が必要

ゼップバウンドの電子添文(9.4 生殖能を有する者)では、妊娠する可能性のある女性に対し、投与中と最後の投与から1ヵ月間は避妊する必要があることと、適切な避妊法を説明することとされています。妊活を始める時期は、この期間もふまえて医師と相談してください。期間を自己判断で決めないことが大切です。

中止後の体重管理も一緒に考える

薬をやめると、体重が戻りやすくなることがあります。妊活に向けて中止する場合は、食事・運動・睡眠といった生活習慣の土台を整えておくと安心です。

肥満症の効能には、もともと「食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない」という条件が含まれています。薬だけに頼るのではなく、生活習慣と組み合わせる治療です。

経口避妊薬(ピル)の効果が下がるおそれと避妊の方法

ゼップバウンドを使っている間は、経口避妊薬(飲むピル)の効果が弱まるおそれがあります。 ゼップバウンドの電子添文では、経口避妊薬が「併用注意」に挙げられています(10.2)。

なぜピルの効果が下がるの?

ゼップバウンドには、胃の中身が腸へ送られるのを遅らせる働きがあります(胃内容排出遅延)。そのため、一緒に飲む薬の吸収に影響することがあります。

電子添文では、特に 投与開始初期と増量した直後の初期 に、経口避妊薬の効果を弱めるおそれがあるとされています(10.2)。海外の健康な女性を対象にした試験では、ゼップバウンド5mgの単回投与でピルの成分の血中濃度(最高濃度・総量)が下がりました(16.7)。この時期の避妊方法は、必ず医師に相談してください。

避妊方法の選択肢

飲むピル以外の避妊法には、次のようなものがあります。

  • コンドームなどのバリア法
  • 子宮内に入れる避妊器具など、口から飲まない方法

どれが合うかは人によって違います。婦人科の医師にも相談しましょう。

ウゴービの場合も、服用中の薬はすべて伝える

ウゴービの電子添文では、経口避妊薬は「併用注意」に挙げられていません。ただし、ウゴービにも胃の内容物の排出を遅らせる作用があります。経口避妊薬を含め、飲んでいる薬はすべて診察時に医師へ伝えてください。

なお、スリマルでは 経口避妊薬の服用 を問診で確認しています。処方の可否や注意点は、医師が診察で判断します。

生理周期の変化と体重減少

体重が変わると、生理周期が変わることがあります。 治療中に生理の遅れや乱れを感じたら、医師に相談してください。

日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」では、肥満に関連する健康障害の11項目に 月経異常・女性不妊 が含まれています。体重と月経のリズムには、関わりがあると考えられています。

ただし、治療で体重がどのくらい減るか、月経がどう変わるかには個人差があります。「体重が減れば必ず生理が整う」とは言えません。

注意したいのは、生理周期が変わることで 予定外の妊娠に気づきにくくなる 点です。次のような習慣が役に立ちます。

  • アプリや手帳で生理日を記録する
  • 予定から遅れたら妊娠検査薬で確認する
  • 不安があれば注射を打つ前に医師へ連絡する

授乳中の使用について

授乳中の使用は、医師が個別に判断します。 両剤の電子添文(9.6 授乳婦)では、治療上の有益性と母乳で育てる有益性を考え、授乳を続けるかやめるかを検討することとされています。

「産後に体重を戻したい」と考える方は多いのではないですか? でも、授乳期は赤ちゃんへの影響も考える必要がある時期です。

スリマルでは、授乳中かどうかを問診で確認しています。授乳中の方は、事前に必ず申告してください。

産後の体重管理とGLP-1については、産後の体重とGLP-1治療の考え方で詳しく解説しています。

肥満と妊娠の関係

肥満は、妊娠しにくさや妊娠中の合併症と関わることが知られています(詳しくは肥満と妊娠のリスク)。先にふれたように、肥満症の健康障害11項目には「月経異常・女性不妊」が含まれます。

ここで知っておきたいのが、「肥満」と「肥満症」の違いです。

  • 肥満:脂肪が過剰にたまった状態で、BMI25以上のもの
  • 肥満症:肥満があり、そのせいで健康障害が起きている(または起きると予測される)ため、医学的に減量が必要な状態

ゼップバウンドやウゴービは、医師が診断した 肥満症 の治療薬です。妊活のための薬ではありません。

肥満と不妊の関係は、肥満と不妊の関係の記事でくわしくまとめています。妊活を優先したい方は、婦人科や不妊治療の専門医にも相談しましょう。

糖尿病薬を減量目的で使うのは避ける

オゼンピックやリベルサス、マンジャロは 2型糖尿病の治療薬 です。肥満症の効能はありません。減量目的で使うと、副作用が起きたときに医薬品副作用被害救済制度の対象外となるおそれがあります。

フリマアプリやSNSで処方薬を売り買いすることや、他人に譲ることは 違法 です(厚生労働省)。本人使用の範囲内の個人輸入はそれ自体は違法ではありませんが、偽造品や健康被害のおそれがあり、医薬品副作用被害救済制度の対象外にもなります。

女性が治療を始める前に医師に伝えること

妊娠・授乳・避妊に関わる情報は、診察前に正直に伝えることが安全な治療の第一歩です。 次の項目を整理しておきましょう。

1. 妊娠・授乳・妊活の予定

  • 現在、妊娠中またはその可能性があるか
  • 授乳中かどうか
  • 近いうちに妊娠を望んでいるか

2. 服用中の薬

  • 経口避妊薬(ピル)
  • ワーファリンなどのクマリン系製剤
  • 血圧・コレステロール・血糖を下げる薬
  • インスリン注射

3. 既往歴や健康状態

  • 心臓病、脳卒中、慢性腎臓病・腎不全、貧血の既往歴
  • 健康診断でC・D判定の項目があるか
  • GLP-1製剤を使ったことがあるか、やめた理由
  • 習慣的な喫煙

主な副作用とリスク

治療には効果だけでなく、副作用もあります。両剤で報告されている主なものは次のとおりです。

  • 吐き気、嘔吐、下痢、便秘などの胃腸症状
  • 食欲の低下
  • 糖尿病の薬と併用したときの低血糖
  • 頻度は低いものの、急性膵炎、胆嚢炎・胆管炎などの胆道の病気、イレウス(腸閉塞を含む)などの重大な副作用

強い腹痛が続く場合は、すぐに医療機関を受診してください。効果にも副作用にも個人差があります。医師の診断と管理のもとで使う薬です。

スリマルで治療を受けられる方・受けられない方

スリマルは 肥満症のオンライン診療 を行うサービスです。対面診療や保険診療は行っていません。

治療の対象となるのは、次のすべてに当てはまる方です。

  • 20歳以上
  • BMI27以上
  • 医師の診断で肥満症に該当する

次の方は対象外です。

  • 20歳未満の方
  • BMI27未満の方(初診時)
  • 美容目的・痩身ダイエット目的の方
  • ビグアナイド系、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系、DPP-4阻害剤、SGLT2阻害剤、インスリン製剤などの糖尿病薬を処方されている方

なお、ゼップバウンドは閉塞性睡眠時無呼吸症候群、ウゴービはMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)にも承認されています。ただしスリマルで処方するのは肥満症の治療のみです。

費用の目安

スリマルは自由診療のため、保険は使えず全額自己負担です。開始用量の1ヶ月分の料金(税込)は次のとおりです。

薬剤 開始用量 料金
ゼップバウンド 2.5mg ¥36,410
ウゴービ 0.25mg ¥19,800

用量は4週間ごとに段階的に増やすため、料金も用量に応じて変わります。診察料・配送料は無料です。処方は1ヶ月分ずつです(出典:slimaru.jp/price)。

診察はZoomによるオンライン診療で、LINEアカウントから登録できます。

まとめ

  • 妊娠中・妊娠の可能性がある方には、ゼップバウンドもウゴービも投与しない
  • ウゴービは、2ヵ月以内に妊娠を予定している場合は中止する
  • ゼップバウンドは投与中と最終投与後1ヵ月間の避妊が必要で、経口避妊薬の効果を弱めるおそれがある(使い始めと増量直後は特に注意)
  • 授乳中の使用は、医師が個別に判断する
  • 妊娠・授乳・服用中の薬は、治療前に必ず医師へ伝える

本記事の薬剤情報は、執筆時点のPMDA電子添文(ゼップバウンド:2026年9月改訂 第6版、ウゴービ:2026年6月改訂 第7版)にもとづいています。添文は改訂されることがあるため、最新の内容は医師・薬剤師にご確認ください。

将来の妊娠も考えながら肥満症治療を始めたい方は、まず医師に今の状況と予定を相談してみませんか? あなたのライフプランに合う治療計画を一緒に考えるところから始めましょう。

免責事項

本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。

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