この記事は、妊娠前のBMIが25以上で、妊娠中のリスクや体重管理を知りたい方に向けたものです。妊娠を考え始めたばかりで、今のうちに体重を見直したい方にも役立ちます。
妊娠がわかって、「今の体重のままで大丈夫だろうか」と不安になっていませんか? 肥満があると、妊娠中に起こりやすい合併症があることがわかっています。ただし、妊娠中の体重は「減らす」のではなく、「増やしすぎない」ように管理します。 この記事では、公的機関や学会の資料をもとに、無理なく続けられる体重管理の考え方を整理します。
肥満がある方の妊娠で起こりやすいリスク、妊娠前BMI別の体重増加の目安、食事と運動、妊娠前の減量を解説。ゼップバウンド・ウゴービの妊娠に関する電子添文の記載も紹介します。気になる方は医師にご相談ください。
医療監修
肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。
本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。
公開日: 2026-11-05
この記事は、妊娠前のBMIが25以上で、妊娠中のリスクや体重管理を知りたい方に向けたものです。妊娠を考え始めたばかりで、今のうちに体重を見直したい方にも役立ちます。
妊娠がわかって、「今の体重のままで大丈夫だろうか」と不安になっていませんか? 肥満があると、妊娠中に起こりやすい合併症があることがわかっています。ただし、妊娠中の体重は「減らす」のではなく、「増やしすぎない」ように管理します。 この記事では、公的機関や学会の資料をもとに、無理なく続けられる体重管理の考え方を整理します。
妊娠前のBMIが25以上(日本の基準でいう「肥満」)だと、母体と赤ちゃんの両方に合併症が起こりやすくなります。中でも代表的なのが、次の3つです。
妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて見つかる、糖尿病に至らない程度の血糖値の異常です。 妊娠中は胎盤から出るホルモンの影響で、インスリン(血糖を下げるホルモン)が効きにくくなります。もともと肥満があると、この働きがさらに低下しやすくなります。 血糖値が高い状態が続くと、赤ちゃんが大きくなりすぎる「巨大児」などにつながることがあります。
妊娠高血圧症候群は、妊娠中に高血圧が見られる状態の総称です。多くは妊娠20週以降に起こります。 重症になると、母体の腎臓や肝臓の機能が低下したり、赤ちゃんの発育が悪くなったりすることがあります。妊娠前の肥満は、発症リスクを高める要因の一つとされています。
肥満があると、分娩が長引いたり、帝王切開になったりする割合が高くなるとされています。 帝王切開では、傷の治りにくさや血栓症(血管に血の塊ができる病気)にも注意が必要です。
このほかにも、妊娠前の肥満と死産や先天異常との関連を示す報告があります。 大切なのは、リスクがあると知ったうえで、妊婦健診を欠かさず受けることです。血圧や尿糖、体重の変化を定期的に確認することで、異常を早く見つけやすくなります。
妊娠中に目指す体重増加は、妊娠前のBMIによって変わります。BMIは「体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)」で計算します。
日本産科婦人科学会が2021年に示した目安は、次のとおりです。厚生労働省の「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」(2021年)にも採用されています。
| 妊娠前のBMI | 体格区分 | 体重増加の目安 |
|---|---|---|
| 18.5未満 | 低体重 | 12〜15kg |
| 18.5以上25未満 | 普通体重 | 10〜13kg |
| 25以上30未満 | 肥満(1度) | 7〜10kg |
| 30以上 | 肥満(2度以上) | 個別に対応(上限5kgまでが目安) |
たとえば、身長160cm・体重70kgの方はBMIが約27.3なので、「肥満(1度)」にあたります。この場合の目安は7〜10kgの増加です。
ここで大事なのは、肥満の方でも「体重を増やさない」のが目標ではないことです。 赤ちゃんや胎盤、羊水、増える血液の分だけ、体重は自然に増えます。目安は人によって違うので、具体的な目標値は妊婦健診の担当医と相談して決めましょう。
妊娠中に、減量を目的とした食事制限をしてはいけません。赤ちゃんの成長に必要な栄養が足りなくなるおそれがあるからです。
妊娠中にエネルギーや栄養が不足すると、赤ちゃんの発育が遅れたり、低出生体重児(生まれたときの体重が2,500g未満)になったりすることがあります。 厚生労働省の食生活指針でも、妊娠中の体重増加が少なすぎることのリスクが示されています。
糖質を極端に減らすと、体は脂肪を分解してエネルギーにします。このとき「ケトン体」という物質が増えます。 妊娠中は、自己流で糖質を極端に減らすのは避け、食事の内容は医師や管理栄養士と相談しましょう。
SNSなどで「妊娠中でもやせられる」とうたう商品を見かけることがあります。妊娠中は、安全性が確認されていない商品を自己判断で使わないでください。 処方薬や市販薬、サプリメントを使うときは、必ず産科の担当医に確認してください。
妊娠中に目指すのは減量ではなく、目安の範囲で体重を増やすことです。
妊娠中の体重管理は、毎日続けられる食事と運動の積み重ねが基本です。忙しい方でも取り入れやすいポイントを紹介します。
ただし、この数値は妊娠前の体格が標準的な人を想定したものです。肥満がある場合は医師の指示に従ってください。
妊娠の経過に問題がなければ、ウォーキングやマタニティヨガなど、軽い運動がすすめられることがあります。 目安は「軽く息がはずむけれど、会話ができる程度」の強さです。
ただし、切迫早産や妊娠高血圧症候群などがある場合は、運動を控えるよう指示されることがあります。運動を始める前に、必ず担当医に確認してください。 お腹の張りや痛み、出血があるときは、すぐに運動を中止して医療機関に連絡しましょう。
これから妊娠を考えているなら、妊娠前の体重管理がいちばん効果的な対策になります。妊娠中と違い、妊娠前なら減量に取り組めるからです。
まずは食事・運動・睡眠を見直しましょう。短期間で大きく減らすより、継続できるペースで体質改善を目指すのが基本です。
日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」では、次のように区別しています。
肥満症にあたる場合は、医療的な治療の選択肢があります。
食事療法や運動療法を続けても十分な効果が得られない肥満症の方には、ゼップバウンド(チルゼパチド)やウゴービ(セマグルチド)といった、肥満症の効能が承認された処方薬があります。 どちらも週1回の自己注射で、少ない量から始めて4週間ごとに段階的に増やします。
効果には個人差があります。また、次のような副作用が報告されています。
使用は医師の診断・管理のもとで行います。
妊娠を予定している方は、治療を始める前に必ず医師に伝えてください。 ゼップバウンドの電子添文では、妊娠する可能性のある女性に、投与中と最終投与後1ヵ月間の避妊の必要性を説明するよう記載されています。ウゴービの電子添文では、2ヵ月以内に妊娠を予定する女性では投与を中止するよう記載されています(詳しくは後述)。
スリマルは、医師の診断に基づく肥満症を対象としたオンライン診療です。診察はZoomで行い、薬は自宅に届きます。
料金は自由診療のため、公的医療保険の対象外で全額自己負担です。開始用量はゼップバウンド2.5mgが36,410円(税込)、ウゴービ0.25mgが19,800円(税込)です(1か月分。診察料・配送料は無料)。
ゼップバウンドとウゴービは、妊娠中または妊娠している可能性のある方には投与されません。妊娠を予定している方にも、電子添文に注意事項があります。各製剤の電子添文(PMDAが公開している医薬品の公式文書)には、次のように書かれています。
治療中に妊娠がわかった場合は、自己判断で続けず、すぐに処方した医師に連絡してください。
オゼンピック、リベルサス、マンジャロは、いずれも2型糖尿病の治療薬です。肥満症の効能は承認されていません。 減量目的での使用は承認された使い方ではないため、副作用が起きたときの対応も含めてリスクがあります。妊娠中や妊娠を考えている方は、特に避けてください。
また、フリマアプリやSNSなどでの処方薬の個人間売買、他人への譲渡は違法です。個人輸入した薬には偽造品のおそれがあり、健康被害が起きても医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。
妊娠中の方は、まず産科の担当医に体重管理の方針を相談してください。 これから妊娠を考えていて、BMIが27以上あり、健康障害が気になる方は、妊娠前に一度、医師に相談してみてはいかがでしょうか。科学的根拠に基づいて、ご自身に合った進め方を一緒に考えることができます。
※本記事の内容は、2026年11月時点の各製剤の電子添文(ウゴービ 第7版、ゼップバウンド 第6版)と公的資料に基づいています。
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。