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ゼップバウンド・ウゴービを使えない人は?禁忌と注意が必要な持病

肥満症治療を検討中の方へ。ゼップバウンド・ウゴービを使えない人は?電子添文上の禁忌、妊娠中の扱い、膵炎・胆道疾患など注意が必要な持病、費用などのデメリットを整理。始める前のリスク確認に。気になる方は医師にご相談ください。

医療監修

肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。

本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。

公開日: 2026-11-05

この記事について

この記事は、ゼップバウンドやウゴービでの肥満症治療を考えている方に向けたものです。始める前に「自分は使える体なのか」を確かめたい方に読んでいただけます。

「注射で体重を落とせるなら試したい」と思いながら、持病や飲んでいる薬が気になっていませんか?

ゼップバウンド(一般名:チルゼパチド)とウゴービ(一般名:セマグルチド)は、医師の診断にもとづく 肥満症 の治療に使う処方薬です。誰でも使える薬ではありません。投与してはいけない人(禁忌)と、慎重な判断が必要な人が電子添文に定められています。

※電子添文とは、医薬品の公式な説明書のことです。本記事は、PMDAが公開している最新の電子添文(ゼップバウンド:2026年9月改訂 第6版、ウゴービ:2026年6月改訂 第7版)と、最適使用推進ガイドラインをもとにしています。


電子添文上の禁忌(投与しない方)

次に当てはまる方は、両剤とも投与できません。電子添文の「2. 禁忌」に書かれている内容です。

禁忌は3つ。あなたは当てはまりますか?

禁忌の内容 どういうことか
本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある 以前この薬の成分でアレルギー反応が出たことがある
糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病 インスリン製剤による速やかな治療が必要な状態
2型糖尿病を有する患者における重症感染症、手術等の緊急の場合 血糖をインスリンで細かく管理する必要がある場面

※糖尿病性ケトアシドーシスとは、インスリン不足で血液が酸性に傾く、命に関わる状態です。

甲状腺の病気は「禁忌」ではない?

ネットでは「甲状腺髄様癌(甲状腺がんの一種)の家族歴があると使えない」という情報を見かけることがあります。これは 米国の添付文書の警告 です。日本の電子添文の禁忌ではありません。

日本の電子添文では、投与中に甲状腺に関わる症状の有無を確認し、異常があれば専門医を受診するよう指導することになっています(ゼップバウンド 8.6、ウゴービ 8.5)。ラットなどの動物試験で甲状腺C細胞腫瘍の増加がみられたこと、甲状腺髄様癌の既往や家族歴がある方での安全性は確立していないことも記載されています(15.2)。甲状腺の病気がある方や家族歴がある方は、診察時に必ず医師へ伝えてください。

妊婦・妊娠の可能性がある方

妊娠中の方と、妊娠している可能性がある方は、両剤とも投与しません(電子添文 9.5)。医師の判断で使えるかどうかを決める、という扱いではありません。

妊娠を予定している場合は?

ウゴービの電子添文では、2ヵ月以内に妊娠を予定する女性は投与を中止することとされています(9.4)。ゼップバウンドの電子添文では、妊娠する可能性のある女性に、投与中と最後の投与から1ヵ月間は避妊が必要であることを説明するとされています(9.4)。妊娠を考えている方は、治療を始める前に医師へ伝えてください。詳しくはゼップバウンド・ウゴービと妊娠・妊活・ピルをご覧ください。

授乳中・ピルを飲んでいる場合は?

  • 授乳中の方:授乳を続けるか、治療を優先するかを医師が検討します
  • 経口避妊薬(ピル)を服用中の方:ゼップバウンドではピルの効果が弱まるおそれがあるため(併用注意)、診察時に申告が必要です

年齢:何歳から使える?高齢者の注意

スリマルでは、処方の対象を 20歳以上 としています。20歳未満の方は、問診の段階で対象外となります。

お子さんや10代の方の体重が気になる場合は、小児の肥満を診る医療機関に相談しましょう。

65歳以上は使えない?

電子添文に年齢の上限は書かれていません。ただし高齢者は一般に生理機能が低下していることが多いため、状態を観察しながら慎重に投与することとされています(9.8)。

高齢の方は、吐き気や下痢による脱水、食事量が減ることによる筋肉量の低下にも注意が必要です。

注意が必要な持病(腎機能・膵炎の既往・胆道疾患・重度の胃腸障害など)

禁忌ではないものの、医師が慎重に判断する持病があります。次のような病気がある方は、診察で必ず伝えてください。

4つの持病で特に注意が必要な理由は?

1. 膵炎(すいえん)の既往がある方 膵炎は、膵臓に炎症が起きる病気です。両剤とも、膵炎の既往がある方は注意が必要な患者として挙げられ、重大な副作用として 急性膵炎 が記載されています。膵炎と診断された場合は再投与しないこととされています。嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛があるときは、使用を中止してすぐに受診が必要です。

2. 胆石・胆のうの病気がある方 重大な副作用として、胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸が記載されています。電子添文では、胆石症を含むこれらが起こるおそれがあるため、腹痛などがあれば必要に応じて画像検査などで原因を調べるとされています(ゼップバウンド 8.7、ウゴービ 8.6)。右上腹部の痛みや発熱、皮膚や白目が黄色くなる症状に注意しましょう。

3. 重度の胃腸障害がある方 重症の胃不全麻痺(胃の動きが極端に弱い状態)など、重度の胃腸障害がある方です。電子添文では、胃腸障害の症状が悪化するおそれがあるとされています(ゼップバウンド 9.1.1、ウゴービ 9.1.2)。また、お腹の手術やイレウス(腸閉塞など)の既往がある方は、イレウスを起こすおそれがあるため注意が必要です。

4. 腎臓の病気がある方 電子添文では、下痢や嘔吐から脱水になり、急性腎障害に至るおそれがあるとされています(ゼップバウンド 8.5、ウゴービ 8.4)。慢性腎臓病の方は、水分のとり方も含めて医師と相談が必要です。

手術や鎮静を使う検査の予定は?

全身麻酔や深い鎮静の際に、絶食を守っていても誤嚥が起きた例が報告されています(ゼップバウンド 9.1.6、ウゴービ 9.1.5)。予定がある方は使用中の手術・胃カメラ・健康診断もあわせてご覧ください。

ほかに申告が必要なことは?

スリマルの問診では、次の項目も確認しています。これらに当てはまっても自動的に対象外にはなりません。医師がオンライン診察で処方できるかどうかを判断します。

  • 心臓病・脳卒中・貧血の既往歴
  • 血圧・コレステロール・血糖を下げる薬の使用
  • ワーファリンなどクマリン系製剤の服用
  • GLP-1製剤を以前使っていたことと、やめた理由
  • 健康診断でC・D判定の項目がある
  • 習慣的な喫煙

主な副作用も知っておきたい

持病がない方でも、副作用は起こりえます。主なものは、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、食欲の低下などです。頻度は低いものの、重大な副作用として急性膵炎、胆嚢炎・胆管炎、イレウス、低血糖が記載されており、ゼップバウンドではアナフィラキシー・血管性浮腫も記載されています。

糖尿病の薬と一緒に使うと 低血糖 のリスクが高まることがあります。冷や汗、手の震え、強い空腹感が出たら注意が必要です。副作用の詳細はゼップバウンドの副作用・ウゴービの副作用で解説しています。

二次性肥満の場合はまず原因の治療

二次性肥満とは、別の病気や薬が原因で起こる肥満のことです。この場合、体重を減らす薬より先に、原因となっている病気の治療を考えます。

二次性肥満にはどんな原因がある?

日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」では、主に次のような原因が挙げられています。

  • 内分泌性:クッシング症候群、甲状腺機能低下症など(ホルモンの病気)
  • 遺伝性:遺伝子の異常によるもの
  • 視床下部性:脳の食欲を調節する部分の異常
  • 薬物性:ステロイドなど、体重が増えやすい薬の影響

「急に体重が増えた」「むくみや強いだるさがある」という方は、二次性肥満の可能性も考えられます。まず医師の診察を受け、原因を確かめることが大切です(詳しくは二次性肥満とは)。

デメリット:費用・注射・副作用・中止後の体重

肥満症の治療薬は、科学的根拠にもとづいて承認された薬です。一方で、始める前に知っておきたいデメリットが4つあります。

1. 費用は月いくらかかる?

スリマルは 自由診療 です。健康保険は使えず、全額自己負担になります。スリマルの料金(税込・1ヶ月分)は次のとおりです。

ゼップバウンド 料金 ウゴービ 料金
2.5mg ¥36,410 0.25mg ¥19,800
5mg ¥55,435 0.5mg ¥31,900
7.5mg ¥78,271 1.0mg ¥50,996
10mg ¥109,868 1.7mg ¥100,067
12.5mg ¥126,500 2.4mg ¥129,250
15mg ¥151,800 — —

診察料・配送料は無料です。用量が増えるほど費用も上がるため、無理なく継続できる予算かどうかを先に考えておきましょう。

2. 週1回の自己注射が必要

どちらも週1回、自分で皮下注射します。ゼップバウンドは2.5mg、ウゴービは0.25mgから始めます。4週間の間隔をあけて、段階的に増量します。注射に抵抗がある方には負担になるかもしれません。

3. 副作用が出ることがある

前の章で紹介したとおり、胃腸の症状を中心に副作用があります。効果にも副作用にも個人差があります。医師の診察・管理のもとで使う必要があります。

4. やめると体重が戻ることがある

臨床試験(ゼップバウンドのSURMOUNT-4試験:Aronne LJ, et al. JAMA. 2024、ウゴービのSTEP 1試験の延長期間:Wilding JPH, et al. Diabetes Obes Metab. 2022)では、投与を中止すると体重が再び増える傾向が報告されています。食事療法・運動療法を続け、生活習慣から体質改善を目指すことが基本です。

糖尿病の薬を減量目的で使うのは?

オゼンピック、リベルサス、マンジャロは 2型糖尿病の治療薬 です。肥満症の適応はありません。減量目的で使うのは適応外の使用にあたり、健康被害が起きても医薬品副作用被害救済制度の対象外となるおそれがあります。

また、フリマアプリやSNSでの処方薬の売買・譲渡は 違法 です(厚生労働省)。本人使用の範囲内の個人輸入はそれ自体は違法ではありませんが、偽造品のおそれがあり、健康被害が起きても医薬品副作用被害救済制度の対象外です。

スリマルで処方の対象外となる条件

スリマルは、医師の診断にもとづく肥満症を対象とした オンライン診療専門 のサービスです。対面診療は行っていません。次の条件に当てはまる方は、問診の段階で処方の対象外となります。

問診で対象外となる4つの条件

  1. 20歳未満の方
  2. 初診時の BMIが27未満 の方
  3. 美容目的・痩身ダイエット目的 の方
  4. 次の 糖尿病用薬剤の処方を受けている方
  5. ビグアナイド系薬剤
  6. スルホニルウレア剤
  7. 速効型インスリン分泌促進剤
  8. α-グルコシダーゼ阻害剤
  9. チアゾリジン系薬剤
  10. DPP-4阻害剤
  11. SGLT2阻害剤
  12. インスリン製剤 等

また、妊娠中または妊娠している可能性がある方と、電子添文上の 禁忌 に当てはまる方には投与しません。

※BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で計算します。身長170cm・体重79kgの方なら約27.3です。

「肥満」と「肥満症」はどう違う?

肥満はBMI25以上の状態を指します。肥満症は、肥満があり、肥満による健康障害(高血圧、脂質異常症、耐糖能障害など11項目)を合併しているか、合併が予測され、医学的に減量が必要な状態のことです。

両剤の肥満症への効能には、「食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない場合」という条件があります。さらに、ゼップバウンドは高血圧・脂質異常症・耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)のいずれか、ウゴービは高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかがあり、BMI27以上で肥満に関連する健康障害が2つ以上ある、またはBMI35以上であることが条件です(各電子添文 4. 効能又は効果)。

MASHや睡眠時無呼吸症候群の治療は?

ウゴービにはMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)の効能もあります。ゼップバウンドには閉塞性睡眠時無呼吸症候群の効能もあります。ただし、スリマルが処方するのは 肥満症の治療のみ です。これらの病気の治療は行っていません。

まとめ

ゼップバウンドとウゴービには、電子添文で定められた禁忌があります。妊娠中の方にも投与しません。膵炎・胆道疾患・重度の胃腸障害・腎臓病などがある方は、医師が慎重に判断します。

「自分は使えるのか」と迷ったら、自己判断せず、まずは医師に相談してみてください。持病や服用中の薬をメモして診察に臨むと、スムーズに話が進みます。

※本記事の薬剤情報は、ゼップバウンド電子添文(2026年9月改訂 第6版)、ウゴービ電子添文(2026年6月改訂 第7版)の時点のものです。料金は2026年5月11日時点のスリマル公式サイトの情報です。

免責事項

本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。

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