胃内容排出遅延とは?
ゼップバウンドは「GIP/GLP-1受容体作動薬」です。食後に腸から出るホルモンと同じように働きます。ウゴービは「GLP-1受容体作動薬」です。
これらの薬には胃内容排出遅延(いないようはいしゅつちえん)を起こす作用があります。胃の中身が腸へ移るのがゆっくりになるということです。
満腹感が続きやすいのはこの作用によるものですが、検査や手術のときは注意が必要になります。
なぜ麻酔で問題になるのか?
全身麻酔や深い鎮静(眠くなる薬)を使うと、のどの反射が弱まります。
このとき胃に食べ物が残っていると、逆流して気管に入るおそれがあります。これを誤嚥(ごえん)といい、肺炎の原因になります。
日本の電子添文にも、この注意が書かれています。GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬を使っている方で、術前の絶食指示を守ったのに全身麻酔または深い鎮静のもとで誤嚥が起きた例が報告されていること、本剤には胃内容排出遅延作用があり胃の内容物が残るリスクが高まるおそれがあることが記載されています(ゼップバウンド 9.1.6、ウゴービ 9.1.5)。
米国麻酔科学会(ASA)も2023年、GLP-1受容体作動薬の使用者について術前の注意をまとめた指針を公表しています。
胃カメラでも影響する?
胃カメラでは、胃に食べ物が残っていると粘膜がよく見えません。
観察が不十分になり、検査をやり直すことになる場合もあります。鎮静剤を使う胃カメラでは、誤嚥への注意も必要です。