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甲状腺の病気で太る?症候性肥満の原因と見分け方

食事や運動を見直しても体重が減らない方へ。甲状腺機能低下症やクッシング症候群、薬の副作用で太る「症候性肥満」の原因と見分け方、検査を解説します。原因が気になる方は医師に相談を。

医療監修

肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。

本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。

公開日: 2026-11-05

この記事について

この記事は、食事や運動を見直しても体重が減らず、「病気や薬が原因では」と気になっている方に向けて書いています。BMIが27以上で、肥満症の治療を考えている方にも役立つ内容です。

食べる量は変わらないのに、体重だけが増えていく。そんな経験はありませんか?ダイエットが続かない理由は、意志の強さだけではありません。まれですが、ホルモンの病気や服用中の薬が体重増加に関わっていることもあります。

この記事では、病気や薬が原因で起こる「症候性肥満」を取り上げます。科学的根拠に基づいて、原因と見分け方を整理します。生活習慣による一般的な肥満の原因は、肥満症の原因で詳しく扱っています。

症候性肥満(二次性肥満)とは

症候性肥満とは、病気や薬など、はっきりした原因があって起こる肥満のことです。「二次性肥満」とも呼ばれます。日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」では、肥満を次の2つに分けています。

  • 原発性肥満:食べすぎや運動不足など、生活習慣が主な原因の肥満
  • 症候性肥満:内分泌(ホルモン)の病気や遺伝性の病気、薬などが原因の肥満

肥満の多くは原発性肥満です。ただし、症候性肥満では原因の病気を治療しないと、体重の問題も解決しにくくなります。そのため、肥満症を診断するときは、まず症候性肥満かどうかを見分けることが大切とされています。

「肥満」と「肥満症」はどう違う?

この2つは似た言葉ですが、意味が異なります。

  • 肥満:脂肪が過剰にたまった状態で、BMIが25以上のもの
  • 肥満症:肥満に加えて、肥満が原因または関係する健康障害がある(または予測される)状態。医学的に減量が必要な病態を指す

健康障害には、2型糖尿病などの耐糖能障害、脂質異常症、高血圧など11項目があります(詳しくは肥満と肥満症の違いとは?)。BMIの数字だけでは、肥満症かどうかは決まりません。

症候性肥満にはどんな種類がある?

主な原因は次のとおりです。

分類 主な原因の例
内分泌性 甲状腺機能低下症、クッシング症候群など
薬物性 副腎皮質ステロイド、一部の向精神薬など
遺伝性・視床下部性 先天的な病気や、脳の食欲中枢の障害など

ここからは、検索されることの多い甲状腺の病気から順に見ていきます。

甲状腺機能低下症(橋本病)と体重

甲状腺の働きが落ちると代謝が下がり、体重が増えることがあります。ただし、体重増加の多くはむくみによるもので、大幅な脂肪の増加が主な原因になることは多くないとされています。

甲状腺ホルモンは何をしている?

甲状腺は、のどぼとけの下にある蝶のような形の臓器です。ここで作られる甲状腺ホルモンは、全身の代謝(エネルギーを使う働き)を調整しています。ホルモンが不足すると、体がエネルギーを使いにくくなります。

橋本病とはどんな病気?

甲状腺機能低下症の代表的な原因が「橋本病(慢性甲状腺炎)」です。免疫が自分の甲状腺を攻撃してしまう病気で、女性に多いことが知られています。

体重以外のサインはある?

次のような症状が重なる場合は、甲状腺の病気が隠れていることがあります。

  • 寒がりになった
  • だるさ、眠気が続く
  • 顔やまぶた、手足がむくむ
  • 便秘がちになった
  • 皮膚が乾燥する、髪が抜けやすい
  • 声がかすれる
  • 月経が乱れる

あなたも「年齢のせい」と見過ごしている症状はありませんか?いくつか当てはまるなら、一度医師に相談してみてください。

クッシング症候群などのホルモンの病気

クッシング症候群は、甲状腺の病気よりまれな病気です。ただ、特徴的な太り方をするため、知っておく価値があります。

クッシング症候群とは?

副腎から出る「コルチゾール」というホルモンが過剰になる病気です。コルチゾールはストレスに対応するホルモンで、多すぎると脂肪のつき方が変わります。

特徴は、お腹や顔に脂肪がつき、手足は細いままという太り方です。主なサインは次のとおりです。

  • 顔が丸くなる(満月様顔貌)
  • お腹まわりに脂肪がつく(中心性肥満)
  • お腹や太ももに赤紫色の線ができる
  • 手足の筋力が落ち、あざができやすい
  • 血圧や血糖値が上がる

ほかにどんなホルモンの病気がある?

体重に関わるホルモンの病気は、ほかにもあります。インスリノーマ(低血糖を起こす膵臓の腫瘍)や、性腺機能低下症などです。どれも頻度は高くありませんが、医師が鑑別(似た病気と見分けること)の対象にします。

薬の副作用で太るケース

服用中の薬が原因で体重が増えることもあります。これを「薬剤性肥満」と呼ぶことがあります。主に、食欲が増える、むくむ、代謝が変わるといった仕組みで体重が増えます。

体重増加と関係しうる薬は?

薬の種類 主な用途
副腎皮質ステロイド 炎症、膠原病、ぜんそくなど
一部の抗精神病薬・抗うつ薬 精神疾患の治療
一部の抗てんかん薬 てんかんの治療
インスリン製剤・一部の糖尿病薬 糖尿病の治療

同じ薬でも、体重が増えるかどうかには個人差があります。

自己判断で薬をやめてもいい?

自己判断でやめるのはやめてください。急に中止すると、もとの病気が悪化したり、体調を崩したりするおそれがあります。特にステロイドは、急な中止で重い症状が出ることがあります。体重が気になる場合は、処方した医師に相談しましょう。

糖尿病の薬を減量目的で使うのは?

オゼンピック、リベルサス、マンジャロは2型糖尿病の治療薬です。肥満症の効能はなく、減量目的での使用はすすめられません。医師の適切な管理なしに使えば、副作用への対応が遅れるリスクがあります。

また、フリマアプリやSNSでの処方薬の個人間売買や、他人への譲渡は違法です。

原発性肥満との見分け方と検査

体重が増えた経緯や体重以外の症状、血液検査の結果を組み合わせて見分けます。自分だけで判断するのは難しいため、医師の診察が必要です。

症候性肥満を疑うポイントは?

次のような場合は、症候性肥満の可能性も考えられます。

  1. 食事や生活が変わらないのに、短期間で体重が増えた
  2. むくみ、だるさ、寒がりなど体重以外の症状がある
  3. 顔やお腹だけに脂肪がつくなど、太り方が特徴的
  4. 新しい薬を飲み始めてから体重が増えた
  5. 血圧や血糖値が急に上がった

どんな検査をする?

主な検査は血液検査です。

  • 甲状腺:TSH(甲状腺刺激ホルモン)とFT4(甲状腺ホルモン)を測定
  • クッシング症候群:コルチゾールやACTH(コルチゾールの分泌を促すホルモン)を測定。必要に応じて追加の負荷試験を行う

健康診断で甲状腺の項目を測っていない場合もあります。気になる症状があれば、内科や内分泌内科で相談するのがよいでしょう。

原因の病気を治療すると体重はどうなる?

症候性肥満なら、まず原因の病気の治療が優先されます。甲状腺機能低下症では、不足したホルモンを補う治療が行われます。体重の変化には個人差があり、生活習慣の見直しも並行して必要です。

肥満症の薬物療法の前に確認されること

GLP-1受容体作動薬などによる肥満症の薬物療法は、誰でも受けられるわけではありません。処方の前に、医師が症候性肥満ではないかを含めて、さまざまな点を確認します。

肥満症の治療薬にはどんなものがある?

国内で肥満症の効能をもつ注射薬には、次の2つがあります。

  • ゼップバウンド(チルゼパチド):GIPとGLP-1という2つのホルモンの働きをもつ薬
  • ウゴービ(セマグルチド):GLP-1というホルモンの働きをもつ薬

どちらも週1回の自己皮下注射です。ゼップバウンドは2.5mg、ウゴービは0.25mgから始め、4週間の間隔で段階的に増量します。電子添文では、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない場合に使う薬とされています。

副作用やリスクは?

主な副作用は、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などの胃腸症状です。頻度は低いものの、急性膵炎、胆嚢炎などの胆嚢の病気、低血糖といった重大な副作用も報告されています。医師の診断・管理のもとで使用することが前提です。

甲状腺の病気がある人は使えない?

「GLP-1の薬は甲状腺に影響する」と聞いたことがある方もいるかもしれません。米国の添付文書には、甲状腺髄様癌(甲状腺がんの一種)に関する警告があります。これはげっ歯類(ラット・マウス)の試験で甲状腺C細胞腫瘍がみられたことに基づくもので、ヒトでの関連は確認されていません。一方、日本の電子添文ではこれは禁忌(使ってはいけない条件)とはされていません。投与中は甲状腺関連の症状を確認し、異常があれば専門医を受診するよう指導することとされています。

甲状腺の病気で治療中の方や、過去にかかったことがある方は、診察時に必ず医師へ伝えてください。処方できるかどうかは、医師が個別に判断します。

電子添文で投与しないとされているのはどんな人?

  • 妊娠中、または妊娠している可能性のある女性
  • 薬の成分に対して過敏症を起こしたことがある方
  • 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡・前昏睡、1型糖尿病の方
  • 2型糖尿病があり、重症感染症や手術などの緊急時にある方

スリマルで治療を受けられる方は?

スリマルは、医師の診断に基づく肥満症を対象とした、Zoomによるオンライン診療です。対面診療は行っていません。

治療の対象となる方 - 20歳以上 - BMIが27以上 - 医師の診断で肥満症に該当する方

治療の対象外となる方 - 20歳未満の方 - 初診時のBMIが27未満の方 - 美容目的・痩身目的の方 - 糖尿病の薬(ビグアナイド系、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系、DPP-4阻害剤、SGLT2阻害剤、インスリン製剤等)の処方を受けている方

授乳中の方、心臓病や腎臓病の既往がある方なども、診察で医師が処方の可否を判断します。

費用はどのくらい?

スリマルは自由診療のため、公的医療保険は使えず全額自己負担です。初回用量の料金(税込・1ヶ月分)は次のとおりです。

薬剤 初回用量 料金
ゼップバウンド 2.5mg ¥36,410
ウゴービ 0.25mg ¥19,800

増量後は用量に応じて料金が変わります。診察料・配送料は無料です。詳しくは料金ページをご確認ください。

まとめ

体重増加の背景に、甲状腺機能低下症やクッシング症候群、薬の副作用が隠れていることがあります。むくみ、だるさ、特徴的な太り方などのサインがあれば、まず原因を確かめることが大切です。

症候性肥満ではないと確認できた後も、体質改善の基本は食事と運動です。そのうえで十分な効果が得られない場合に、医師の判断で薬物療法が選択肢になります。無理なく継続できる方法を、医師と一緒に考えていきましょう。

「自分は肥満症の治療対象になるのか」と迷っている方は、まず医師に相談してみてください。スリマルでは、オンライン診療で医師が状態を確認し、治療の適否をご説明します。

参考文献

  • 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」
  • ゼップバウンド皮下注 電子添文(2026年9月改訂 第6版)、PMDA
  • ウゴービ皮下注 電子添文(2026年6月改訂 第7版)、PMDA
  • 厚生労働省「セマグルチド(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドライン」
  • 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」

免責事項

本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。

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