この記事は、BMIが25以上で減量が続かない方や、肥満症と診断されて生活習慣の見直し方を知りたい方に向けて書いています。
「食べ過ぎないようにしているのに、気づくと間食している」。あなたもそんな経験はありませんか?ダイエットが続かない原因は、意志の弱さではなく、無意識の「食べ方のくせ」にあることが多いのです。行動療法は、このくせを科学的根拠にもとづいて見直す方法です。
減量が続かない方や肥満症と診断された方向けに、ガイドラインに沿って行動療法を解説。グラフ化体重日記や咀嚼法など今日から始められる方法がわかります。続けても減りにくい方は医師にご相談ください。
医療監修
肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。
本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。
公開日: 2026-11-05
この記事は、BMIが25以上で減量が続かない方や、肥満症と診断されて生活習慣の見直し方を知りたい方に向けて書いています。
「食べ過ぎないようにしているのに、気づくと間食している」。あなたもそんな経験はありませんか?ダイエットが続かない原因は、意志の弱さではなく、無意識の「食べ方のくせ」にあることが多いのです。行動療法は、このくせを科学的根拠にもとづいて見直す方法です。
行動療法は、体重が増える原因になっている日々の行動に気づき、無理なく継続できる形に変えていく治療法です。
肥満症の治療には、主に次の3つがあります。
| 治療法 | 内容 |
|---|---|
| 食事療法 | 摂取エネルギーや栄養バランスを整える |
| 運動療法 | 身体活動を増やし、消費エネルギーを増やす |
| 行動療法 | 食事・運動を続けられるよう、行動や考え方のくせを修正する |
食事療法と運動療法は「何をするか」を決めるものです(詳しくは肥満症の食事療法・肥満症の運動療法)。一方、行動療法は「どうすれば続けられるか」を支えます。3つは別々のものではなく、組み合わせて行うのが基本です。
なお、「肥満」と「肥満症」は意味が違います。日本肥満学会の定義では、肥満は脂肪組織に脂肪が過剰にたまった状態で、BMI(体格指数:体重kg÷身長m÷身長m)が25以上のものです。肥満症は、肥満に加えて高血圧や脂質異常症などの健康障害があるか、その合併が予測され、医学的に減量が必要な病態を指します。
減量は始めることより、続けることのほうが難しいからです。日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」でも、行動療法は食事療法・運動療法と並ぶ治療の柱とされています。
同ガイドラインでは、肥満症の減量目標の目安を次のように示しています。
体重80kgの方なら、3%は約2.4kgです。数字にすると、意外と現実的に感じませんか?大きな目標より、小さな変化を続けるほうが体質改善につながりやすいのです。
食事制限で一時的に体重が減っても、元の生活に戻れば体重も戻りがちです(リバウンドの原因と防ぐ方法)。行動療法の目的は、減量した後も続けられる生活習慣をつくることにあります。
行動療法の第一歩は、自分の行動を記録して「見える化」することです。これをセルフモニタリング(自己観察)と呼びます。
グラフ化体重日記は、日本の肥満症診療で用いられている記録法です。1日4回体重を量り、折れ線グラフにします。
1日の中で体重がどう動くかを見ると、「夕食後に大きく増えている」「夜食の翌朝は戻りにくい」などの傾向がわかります。忙しい方は、まず朝と夜の2回から始めても構いません。
ポイントは、増えた日を責めないことです。グラフは反省のためではなく、原因を探すための道具です。体重が増えた日には、前日の行動をひとこと書き添えてみましょう。
食事記録は、カロリーを正確に計算する必要はありません。次の項目を短くメモするだけでも十分です。
3日ほど続けると、「会議後に甘いものを食べている」「スマホを見ながらだと量が増える」といったパターンが見えてきます。スマホのメモや写真で記録すれば、手間もかかりません。
同じ食事でも、食べ方を変えるだけで食べる量が変わることがあります。
咀嚼(そしゃく)法は、一口ごとによく噛む方法です。日本の肥満症診療では、一口30回を目安に噛む方法が知られています。
よく噛むと食事に時間がかかり、満腹感を得やすくなります。早食いの方は、次の工夫から試してみてください。
食べ過ぎのきっかけは、身の回りの環境にあることも少なくありません。
「我慢する」より「食べにくい環境をつくる」ほうが、意志の力に頼らずに続けられます。
自分の食べ方のくせを客観的に知るには、食行動質問表が役立ちます。日本の肥満症診療で使われている質問紙で、肥満症診療ガイドラインでも紹介されています。
質問表では、食行動を次のような領域に分けて評価します。
| 領域 | 質問の例(イメージ) |
|---|---|
| 体質や体重に関する認識 | 「水を飲んでも太るほうだ」と思っている |
| 食動機 | 食べ物を見ると、つい手が出る |
| 代理摂食 | イライラすると食べてしまう |
| 空腹・満腹感覚 | 満腹でも食べてしまう |
| 食べ方 | 早食いである |
| 食事内容 | 甘いものや脂っこいものが好き |
| 食生活の規則性 | 夜食や朝食抜きがある |
たとえば「代理摂食」が高い方は、ストレスを食べることで解消している可能性があります。この場合、食事量を減らすより、散歩や入浴など別のストレス解消法を用意するほうが効果的なこともあります。
くせがわかれば、対策の優先順位をつけられます。すべてを一度に変えようとせず、点数の高い領域から1つずつ取り組みましょう。正式な評価は医療機関で受けられます。
行動療法を続けるには、目標を「行動」で立てることが大切です。
「痩せる」「間食をやめる」では、何をすればよいかがあいまいです。次のように、行動レベルまで具体的にしましょう。
| あいまいな目標 | 行動レベルの目標 |
|---|---|
| 間食を減らす | 平日の午後のお菓子を週3回までにする |
| 運動する | 駅ではエスカレーターでなく階段を使う |
| 夜食をやめる | 21時以降は歯みがきを済ませる |
達成できたらカレンダーに印をつけるなど、小さな成功を目に見える形で残しましょう。
食べ過ぎた日があっても、それで失敗ではありません。「1回崩れたから、もうどうでもいい」と考えてしまうことが、本当の挫折につながります。
崩れたときは、次の順で振り返ってみてください。
体重の増減は日々の変動もあります。1日単位ではなく、1〜2週間の傾向で判断しましょう。
行動療法・食事療法・運動療法を続けても十分な効果が得られない肥満症の方には、医師の判断で薬物治療を併用する場合があります。薬物治療は生活習慣の改善に置き換わるものではありません。食事療法・運動療法と組み合わせて行うことが前提です。
国内で肥満症の効能をもつ注射薬に、ゼップバウンド(一般名チルゼパチド)とウゴービ(一般名セマグルチド)があります。いずれも週1回の自己皮下注射です。少ない用量から始め、4週間の間隔で段階的に増やします。
両剤とも、電子添文の効能では「食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない場合」という条件がついています。処方できるかどうかは、医師の診察で判断されます。
薬の効果には個人差があり、副作用もあります。主な副作用は次のとおりです。
まれに急性膵炎や胆嚢炎・胆管炎などの重い副作用が起こることもあります(各製剤の電子添文)。激しい腹痛などがあれば、すぐに医師に相談してください。必ず医師の診断・管理のもとで使用します。
スリマルは、医師の診断にもとづく肥満症を対象にしたオンライン診療サービスです。Zoomで診察を受け、薬はご自宅に届きます。
次に当てはまる方は、スリマルでは処方の対象外です。
また、妊娠中または妊娠している可能性のある方には投与しません。授乳中の方や、心臓病・腎臓病の既往がある方は、診察時に医師が処方できるかを判断します。
行動療法は、体重記録や食べ方の見直しで「太りやすい行動」に気づき、続けられる習慣に変えていく治療法です。
まずは今夜、体重を量ってメモすることから始めてみませんか?生活習慣を見直しても体重が減りにくい方や、自分が肥満症にあたるか気になる方は、一度医師に相談してみてください。
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。