この記事は、BMIは標準なのに、お腹まわりや健診の数値が気になる30〜50代の方に向けて書いています。体重だけでは分からない「隠れ肥満」の見分け方と、無理なく続けられる改善策をまとめました。
「体重は20代のころとほぼ同じなのに、お腹だけ出てきた」。あなたも、そう感じていませんか? 理由は意志の弱さではありません。体の中身、つまり筋肉と脂肪のバランスが変わってきていることにあります。
体重は標準なのにお腹や健診値が気になる方向けに、隠れ肥満の目安・原因・内臓脂肪のリスクを解説。筋トレと食事で見直すポイントがわかります。健診の数値が気になる方は医師にご相談ください。
医療監修
肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。
本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。
公開日: 2026-11-05
この記事は、BMIは標準なのに、お腹まわりや健診の数値が気になる30〜50代の方に向けて書いています。体重だけでは分からない「隠れ肥満」の見分け方と、無理なく続けられる改善策をまとめました。
「体重は20代のころとほぼ同じなのに、お腹だけ出てきた」。あなたも、そう感じていませんか? 理由は意志の弱さではありません。体の中身、つまり筋肉と脂肪のバランスが変わってきていることにあります。
隠れ肥満とは、BMIは標準の範囲なのに、体脂肪、特に内臓脂肪が多い状態を指す一般的な呼び方です。正式な病名ではありません。ただし、体重計の数字だけでは気づきにくい健康リスクがあるとされています。
BMI(体格指数)は「体重kg ÷ 身長m ÷ 身長m」で求める数値です(詳しくはBMIの計算方法と判定基準)。日本肥満学会は、BMI25以上を「肥満」としています。
BMIは身長と体重だけで計算します。そのため、体重のうち筋肉と脂肪がどれだけあるかは分かりません。 たとえば身長170cm・体重65kgならBMIは約22.5で、標準の範囲です。それでも筋肉が少なく脂肪が多ければ、体の中身は肥満に近い状態になり得ます。
混同しやすい2つの言葉を整理しておきます(日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」)。
BMIが25未満の隠れ肥満は、この定義では「肥満」にも「肥満症」にも当たりません。とはいえ、内臓脂肪がたまっていれば、健診の数値に影響が出ることがあります。
体脂肪率、腹囲、健診の数値の3つを組み合わせると、隠れ肥満の可能性をある程度確かめられます。どれか1つだけで判断しないことが大切です。
厚生労働省の「e-ヘルスネット」では、成人男性は25%、成人女性は30%を超えると「体脂肪量増加」といわれると紹介されています。ただし同サイトでは、体脂肪率は肥満の判定基準には用いられておらず、現時点で体脂肪率の基準値は決まっていないとも説明されています。BMIが標準で体脂肪率がこの値を超えている場合は、腹囲や健診の数値もあわせて確認しましょう。
家庭用の体組成計は、体に微弱な電流を流して脂肪の量を推定します。体内の水分量や機種によって数値が変わるため、測る直前の飲食・運動・入浴を避け、毎回同じ時間・同じ状態で測りましょう(厚生労働省 e-ヘルスネット「体脂肪計」)。
内臓脂肪の目安として、日本のメタボリックシンドロームの診断基準では、へその高さで測った腹囲を使います。
| 項目 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 腹囲(へその高さ) | 85cm以上 | 90cm以上 |
| 相当する内臓脂肪面積 | 100cm²以上 | 100cm²以上 |
出典:メタボリックシンドローム診断基準検討委員会(2005年)
息を軽く吐いた状態で、メジャーを床と平行にして測ります。ベルトの位置で測ると低く出やすいため注意してください。
特定健診(40〜74歳が対象の健康診断)で、保健指導の対象になる目安は次のとおりです(厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム」)。
体重は標準なのに、これらの数値に「要注意」が並ぶ場合は、内臓脂肪の影響を疑うきっかけになります。
隠れ肥満の主な原因は、筋肉が減り、そのぶん脂肪が増えることです。体重が変わらないまま中身が入れ替わるため、気づきにくくなります。
筋肉は、何もしていなくてもエネルギーを使う組織です。年齢とともに筋肉が減ると、同じ量を食べていても使い切れなくなります。 余ったエネルギーは脂肪としてたまります。その結果、筋肉が減って脂肪が増え、体重はほぼ同じという状態が生まれます。
内臓脂肪が多いと、BMIが標準でも、脂肪肝や脂質異常、血糖の異常が起こりやすくなるとされています。見た目が細身でも油断はできません。
内臓脂肪は、胃や腸のまわりにつく脂肪です。皮膚のすぐ下につく皮下脂肪とは性質が違い、内臓脂肪型肥満のほうが糖尿病・高血圧・脂質異常などを発症しやすいことがわかっています(厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」)。減らし方は内臓脂肪を減らすにはでも解説しています。 内臓脂肪がたまると、血糖や血圧の調整に関わる物質のバランスが崩れるとされています。肥満症診療ガイドライン2022でも、日本人は欧米人に比べて軽い肥満でも健康障害が起こりやすいことが、BMI25を基準にする理由の一つに挙げられています。
腹囲が基準を超え、さらに脂質・血圧・血糖のうち2つ以上が基準に当てはまると、メタボリックシンドロームと診断されます。数値が少しずつ重なっていくのが、内臓脂肪型の特徴です。
隠れ肥満の改善は、体重を減らすことより 筋肉を保ちながら脂肪を減らす ことを目標にします。科学的根拠に基づいて、継続できる方法を選ぶことが体質改善の近道です。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨しています。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18〜64歳のたんぱく質の推奨量は、男性65g、女性50gです(年齢区分により異なります)。
一度に取るより、3食に分けて取るのがおすすめです。
腎臓の病気で食事制限を受けている方は、たんぱく質の量を自己判断で増やさず、主治医に確認してください。
極端な糖質制限や食事抜きは、筋肉が落ちる原因になります。「少しずつ、長く」を意識してください。
健診で要注意の数値が出ている場合は、まず医療機関で健診結果を見てもらうことをおすすめします。一方で、隠れ肥満は肥満症治療薬の処方対象にはなりません。
かかりつけ医や、健診を受けた医療機関に結果を持って相談しましょう。数値の背景にある病気を調べることが、最初の一歩です。
肥満症の治療薬には、ゼップバウンド(チルゼパチド)やウゴービ(セマグルチド)があります。どちらも週1回の自己注射薬です。 各電子添文の効能は「肥満症」で、「食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない場合」に限られます。BMIが25未満の隠れ肥満は、そもそも肥満症の診断に当たりません。
肥満症オンライン診療「スリマル」でも、処方の対象は次のすべてに当てはまる方です。
次のいずれかに当てはまる方は処方の対象外です。
また、これらの薬には吐き気、下痢、便秘などの消化器症状の副作用があり、まれに急性膵炎などの重い副作用も報告されています(各製剤の電子添文)。糖尿病の薬と併用すると低血糖のリスクもあります。処方の条件は肥満症治療薬の処方条件で解説しています。必ず医師の診察を受け、医師の管理のもとで使用する薬です。 スリマルはオンライン診療のみ、自由診療のみで提供しています。保険は使えず、費用は全額自己負担です。
隠れ肥満は体重計では見つけにくい一方、腹囲と健診の数値でサインに気づけます。 筋トレとたんぱく質を中心に、無理なく継続できる習慣から始めてみてください。
健診の数値が気になる方は、結果を持って一度医師に相談してみましょう。BMIが27以上で肥満症の治療を検討している方は、オンライン診療で医師に相談する方法もあります。
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。