この記事は、BMIが27前後で「自分は肥満症治療薬の対象なのか」を知りたい方向けです。保険診療と自由診療で基準がどう違うかを、公的な資料をもとに整理します。
「ダイエットを何度も試したのに続かなかった」。あなたもそんな経験はないですか? 続かない理由は意志の弱さだけではありません。身体の仕組みが関わっています。そのため、医学的な治療という選択肢があります。ただし、処方には明確な条件があります。
BMI27以上で痩せ薬(肥満症治療薬)の対象になるか知りたい方へ。保険診療のBMI基準・施設基準と、自由診療との違い、対象外のケースを整理。迷ったら医師に相談を。
医療監修
肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。
本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。
公開日: 2026-11-05
この記事は、BMIが27前後で「自分は肥満症治療薬の対象なのか」を知りたい方向けです。保険診療と自由診療で基準がどう違うかを、公的な資料をもとに整理します。
「ダイエットを何度も試したのに続かなかった」。あなたもそんな経験はないですか? 続かない理由は意志の弱さだけではありません。身体の仕組みが関わっています。そのため、医学的な治療という選択肢があります。ただし、処方には明確な条件があります。
処方の対象は、医師に 「肥満症」 と診断された方です。単に「痩せたい」という理由では処方されません。
まず「肥満」と「肥満症」の違いを押さえましょう。日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」では、次のように区別しています。
BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値です。体格の目安として使われます。
肥満症の診断に関わる健康障害は11項目あります。
現在、肥満症に承認されている注射薬には、ゼップバウンド(チルゼパチド)とウゴービ(セマグルチド)があります。どちらも週1回、自分で皮下に注射する薬です。
両剤の電子添文では、肥満症の効能に次の条件が付いています。保険診療か自由診療かにかかわらず、承認された効能の条件です。
| 条件 | ゼップバウンド | ウゴービ |
|---|---|---|
| 合併している病気 | 高血圧、脂質異常症又は耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)のいずれか | 高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれか |
| BMI | BMI27以上で肥満に関連する健康障害が2つ以上、またはBMI35以上 | 同左 |
| 前提 | 食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない | 同左 |
出典:ゼップバウンド電子添文(第6版)・ウゴービ電子添文(第7版) 4. 効能又は効果
ゼップバウンドは2026年5月の改訂で、合併症の条件に「耐糖能障害(耐糖能異常等)」が加わりました。耐糖能異常等があっても高血圧・脂質異常症のどちらもない場合は、空腹時血糖値・ブドウ糖負荷試験・HbA1cの値などから2型糖尿病の発症リスクが高いと考えられる場合に限るなど、追加の条件があります(電子添文 5.2)。ただし保険給付の対象になるのは「高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病」がある場合に限られます(電子添文「保険給付上の注意」、保医発0518第2号 令和8年5月18日)。
薬は食事・運動の代わりではありません。生活習慣の改善と並行して使う前提の治療です。
BMIの条件(BMI35以上、またはBMI27以上で健康障害が2つ以上)は、電子添文の効能そのものに書かれています。保険診療では、これに加えて最適使用推進ガイドラインの要件を満たす必要があります。自由診療では、電子添文の範囲内で、医療機関ごとに受け付けの基準を設けています。
厚生労働省の「最適使用推進ガイドライン」(PMDA掲載ページ)で、対象となる患者が決められています。BMIについては次のとおりです。
| 区分 | BMIの条件 |
|---|---|
| パターンA | BMI35以上 |
| パターンB | BMI27以上で、肥満に関連する健康障害が2つ以上 |
保険診療では、このBMI条件に加えて、ゼップバウンド・ウゴービのどちらでも高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかの診断があることが求められます(ゼップバウンドの「耐糖能異常」だけでは保険給付の対象になりません)。詳しくは次の章で説明します。
自由診療(保険が使えず、全額自己負担の診療)では、医療機関が独自に基準を決めます。スリマルの場合は次のとおりです。
そのうえで、電子添文の効能の条件に当てはまるかを医師が診察で確認します。
具体例で計算してみます。
どちらもBMI27を超えています。ただし、BMIが基準を満たしても、それだけで処方が決まるわけではありません。健康障害の有無などを、医師が診察で確認します。
保険で処方を受けるには、患者・医療機関・医師の3つすべて が条件を満たす必要があります。患者側が基準を満たしても、受診先が要件を満たさなければ保険診療になりません。
最適使用推進ガイドライン(ゼップバウンド・ウゴービ共通)の主な要件は次のとおりです。
食事・運動療法は自己流では足りません。この6ヵ月の間に、2ヵ月に1回以上、管理栄養士による栄養指導を受けていることが求められます。また、保険診療での投与期間は、ゼップバウンドが最大72週間、ウゴービが最大68週間とされています。
処方する医療機関にも条件があります。
「肥満外来 施設基準」で調べる方が多いのは、この条件があるためです。近所の内科なら保険で処方してもらえる、とは限りません。
処方する医師には、初期研修の修了後に高血圧・脂質異常症又は2型糖尿病と肥満症の診療に5年以上の臨床経験があること(又は医師免許取得後7年以上の臨床経験のうち5年以上)と、日本内分泌学会・日本糖尿病学会・日本循環器学会のいずれかの専門医であることが求められます。
出典:最適使用推進ガイドライン(チルゼパチド製剤・肥満症:2026年5月18日一部改正、セマグルチド製剤・肥満症:2026年6月19日一部改正)
このように、保険診療の条件は厳しく設定されています。具体的な要件は改訂されることがあります。受診前に医療機関へ確認しましょう。保険適用について詳しくは「ゼップバウンドの保険適用」「オンラインでの肥満症治療と保険」もご覧ください。
条件に当てはまる方でも、処方されない場合があります。理由は大きく3種類です。
ゼップバウンド・ウゴービの電子添文で、投与しないことが定められています。
ウゴービでは、2ヵ月以内に妊娠を予定している場合は投与を中止するとされています。ゼップバウンドでは、投与中と最終投与後1ヵ月間は避妊が必要であることを説明するとされています。妊娠を考えている方は、必ず事前に医師へ伝えてください。
スリマルの問診では、次に当てはまると処方できないと判定されます。
糖尿病治療薬を使っている方は、併用すると低血糖のリスクが高まるおそれがあります。主治医のもとで治療を続けてください。
次に当てはまる方は、医師が診察で処方してよいか、どの用量にするかを判断します。
効果の出方には個人差があります。副作用もあります。主なものは吐き気、下痢、便秘などの胃腸症状です。
電子添文には、急性膵炎、胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸、腸閉塞を含むイレウス、低血糖なども重大な副作用として記載されています(ゼップバウンドはアナフィラキシー・血管性浮腫も)。嘔吐を伴う激しい腹痛が続く、冷や汗・ふるえなどが出たら、すぐに医師に連絡してください。
いずれの薬も、医師の診断と管理のもとで使う必要があります。
保険診療の条件を満たし、通える施設があるなら、まず保険診療を検討する価値があります。条件に届かない方や通院が難しい方は、自由診療が選択肢になります。
| 比較項目 | 保険診療 | 自由診療(スリマルの場合) |
|---|---|---|
| BMI基準 | 35以上、または27以上+健康障害2つ以上 | 受付は27以上。そのうえで電子添文の効能の条件(35以上、または27以上+健康障害2つ以上)に当てはまるかを医師が確認 |
| 合併症の要件 | 高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれか(薬物療法を含む治療中) | 電子添文の効能の条件(ゼップバウンドは耐糖能異常も含む)に当てはまるかを医師が判断 |
| 事前の食事・運動療法 | 投与する施設で6ヵ月以上(2ヵ月に1回以上の栄養指導) | 食事・運動療法で十分な効果が得られないことが前提。経過は医師が診察で確認 |
| 投与期間 | ゼップバウンド最大72週・ウゴービ最大68週 | 医師が効果と副作用を見て判断 |
| 受診先 | 施設基準を満たす医療機関 | オンライン診療(Zoom) |
| 費用 | 保険の自己負担分 | 全額自己負担 |
スリマルは自由診療のため、保険は使えず全額自己負担です。診察料・配送料は無料です。処方は1ヶ月分ずつで、定期購入はありません。
ゼップバウンド
| 用量 | 料金 |
|---|---|
| 2.5mg | ¥36,410 |
| 5mg | ¥55,435 |
| 7.5mg | ¥78,271 |
| 10mg | ¥109,868 |
| 12.5mg | ¥126,500 |
| 15mg | ¥151,800 |
ウゴービ
| 用量 | 料金 |
|---|---|
| 0.25mg | ¥19,800 |
| 0.5mg | ¥31,900 |
| 1.0mg | ¥50,996 |
| 1.7mg | ¥100,067 |
| 2.4mg | ¥129,250 |
出典: slimaru.jp/price
ゼップバウンドは2.5mgから始めて4週間の間隔で2.5mgずつ増やし、通常は10mgで続けます(状態に応じて5mgまで減量、15mgまで増量することがあります)。ウゴービは0.25mgから始めて4週間の間隔で増やし、2.4mgで続けます。費用の目安は「ゼップバウンドの値段」「ウゴービの値段」で試算しています。用量が上がると月々の費用も変わります。継続できる予算かどうか、先に確認しておきましょう。
なお、ゼップバウンドは閉塞性睡眠時無呼吸症候群、ウゴービはMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)にも承認されています。ただし、スリマルが処方するのは肥満症の治療のみです。
次の4ステップで確認すると、迷わずに進められます。
体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m) で計算します。27以上かどうかが最初の目安です。
血圧、脂質、血糖、尿酸、肝機能の項目を確認しましょう。C・D判定があれば、受診時に伝えてください。
肥満症かどうかを最終的に判断するのは医師です。保険診療を希望する方は、施設基準を満たす医療機関を探しましょう。通院が難しい方には、オンライン診療という方法もあります。
スリマルは肥満症のオンライン診療(自由診療)です。LINEで登録し、Zoomで診察を受けます。診療時間は10:00〜18:30(不定休)です。決済後、当日〜翌営業日に薬を発送します。
科学的根拠のある治療を、無理なく続けるには、まず自分が対象かを知ることが大切です。BMIが27を超えていて気になる方は、一度医師に相談してみてください。
※ 本記事の基準は、2026年11月時点の電子添文・最適使用推進ガイドラインに基づきます。最新の情報は各資料でご確認ください。
出典 - 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」 - 厚生労働省「最適使用推進ガイドライン」(チルゼパチド・セマグルチド):PMDA掲載ページ - PMDA 電子添文:ゼップバウンド / ウゴービ
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。