この記事は、体組成計に出る「内臓脂肪レベル」の意味を知りたい30〜50代の方に向けたものです。数値をどう読み、何から始めればよいかを科学的根拠にもとづいて整理します。
体組成計に乗って「内臓脂肪レベル12」と出たとき、高いのか低いのか迷ったことはありませんか?内臓脂肪は見た目では分かりにくい脂肪です。数字の読み方を知っておくと、自分の状態を落ち着いて判断できます。
体組成計の内臓脂肪レベルが気になる方へ。メーカー独自の指標と医学的基準(内臓脂肪面積100cm²、腹囲は男性85cm・女性90cm)の違い、正しい測り方、減らす第一歩を解説。気になる方は医師に相談を。
医療監修
肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。
本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。
公開日: 2026-11-05
この記事は、体組成計に出る「内臓脂肪レベル」の意味を知りたい30〜50代の方に向けたものです。数値をどう読み、何から始めればよいかを科学的根拠にもとづいて整理します。
体組成計に乗って「内臓脂肪レベル12」と出たとき、高いのか低いのか迷ったことはありませんか?内臓脂肪は見た目では分かりにくい脂肪です。数字の読み方を知っておくと、自分の状態を落ち着いて判断できます。
内臓脂肪レベルは、体組成計のメーカーが独自に決めた「内臓脂肪の量の目安」です。医学的な検査値ではありません。
家庭用の体組成計では、体に弱い電流を流して電気の通りにくさ(インピーダンス)を測っています。この方式を「生体電気インピーダンス法(BIA)」といいます。脂肪は電気を通しにくく、筋肉は通しやすい性質があります。この性質と身長・体重・年齢・性別を計算式に入れて、内臓脂肪の量を推定します。
区分はメーカーによって異なります。例として、次のような3段階の区分がよく使われています。
| 表示レベル | 判定の目安(一例) |
|---|---|
| 1〜9 | 標準 |
| 10〜14 | やや高い |
| 15以上 | 高い |
表示される数値はメーカー独自の推定値で、後で説明する医学的な基準(CTで測る内臓脂肪面積100cm²)とそのまま対応するものではありません。区分や刻み方も機種ごとに違うため、お使いの製品の取扱説明書をご覧ください。
体組成計の内臓脂肪レベルには、公的な全国平均値は公表されていません。メーカーや機種によって計算式が違うため、他人の数値と比べてもあまり意味がありません。大切なのは、同じ機器で測った自分の数値の推移を見ることです。
医学的な基準では、おへその高さで測った内臓脂肪面積が100cm²以上かどうかを見ます。日常的な目安としては腹囲を使います。
日本肥満学会は、内臓脂肪面積100cm²以上を「内臓脂肪型肥満」の目安にしています。この面積を超えると、高血糖・脂質異常・高血圧などの健康障害が増えると報告されているためです。
内臓脂肪面積100cm²にあたる腹囲として決められた数値です。メタボリックシンドロームの診断基準(2005年、日本内科学会など8学会)では次のように定めています。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 腹囲(へその高さ) | 男性85cm以上、女性90cm以上 |
| 脂質 | 中性脂肪150mg/dL以上、またはHDLコレステロール40mg/dL未満 |
| 血圧 | 収縮期130mmHg以上、または拡張期85mmHg以上 |
| 血糖 | 空腹時血糖110mg/dL以上 |
腹囲の基準を満たし、さらに脂質・血圧・血糖のうち2つ以上に当てはまるとメタボリックシンドロームと診断されます。女性の基準値が大きいのは、女性は皮下脂肪がつきやすく、同じ内臓脂肪量でも腹囲が大きく出るためです。
日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」では、両者を分けて定義しています。
内臓脂肪型肥満がある場合は、健康障害が起こりやすいため肥満症の診断で重く見られます。肥満症かどうかは、体組成計の数値だけでなく医師の診断で決まります。
測り方によって精度と手軽さが大きく変わります。それぞれの特徴を知ったうえで使い分けましょう。
| 測定方法 | 精度 | 手軽さ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| CT検査 | 高い | 低い | 内臓脂肪面積を直接測る。放射線を浴びる |
| 腹囲測定 | 中程度 | 高い | メジャーで測れる。皮下脂肪と区別できない |
| 体組成計 | 推定値 | 非常に高い | 毎日測れる。体内の水分量で値がぶれる |
CTは体の断面を撮影し、内臓脂肪の面積を直接計算できます。内臓脂肪を測る方法の中で最も信頼性が高い検査です。ただし放射線を浴びるため、何度も気軽に受けるものではありません。
腹囲は、立った姿勢で軽く息を吐いたときに、おへその高さで測ります。ウエストの一番細い位置ではない点に注意しましょう。メジャーをきつく締めすぎず、床と水平にするのがコツです。
体組成計は体内の水分の状態に大きく左右されます。食事・入浴・運動・飲酒の直後は値が変わりやすくなります。次のように条件をそろえると、推移を比べやすくなります。
内臓脂肪は男性にたまりやすく、女性は閉経後に増えやすい傾向があります。年齢とともに増えやすい点は男女共通です。
男性はもともと内臓のまわりに脂肪がつきやすい体質です。そのため、お腹だけが前に出る「りんご型」の体型になりやすいといわれます。厚生労働省の令和元年国民健康・栄養調査では、20歳以上でBMI25以上の肥満者の割合は男性33.0%、女性22.3%でした。
女性ホルモンのエストロゲンには、内臓脂肪をたまりにくくする働きがあると考えられています。閉経でエストロゲンが減ると、内臓脂肪が増えやすくなります。40代後半から50代で「体重は変わらないのにお腹が出てきた」と感じる方も多いのではないでしょうか?
年齢を重ねると筋肉量が減り、基礎代謝(安静にしていても使われるエネルギー)が下がります。若いころと同じ量を食べていても、使い切れないエネルギーが脂肪として残りやすくなります。厚生労働省は、40〜74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームの「強く疑われる者」または「予備群」と報告しています(平成19年国民健康・栄養調査)。
内臓脂肪がたまりすぎると、高血糖・高血圧・脂質異常などが同時に起こりやすくなります。動脈硬化が進みやすい状態です。
内臓脂肪は、単にエネルギーをため込むだけの組織ではありません。「アディポサイトカイン」と呼ばれるさまざまな物質を出しています。内臓脂肪が増えると、血圧を上げる物質や炎症を起こす物質が増えます。反対に、血管を守る働きのある「アディポネクチン」は減ることが知られています。
肥満症診療ガイドライン2022では、肥満に関係する健康障害として次のようなものを挙げています。
11の健康障害の全体像は肥満と肥満症の違いとは?診断に関わる11の合併症で解説しています。
インスリン抵抗性(血糖を下げるホルモンであるインスリンが効きにくくなる状態)も、内臓脂肪と深く関係しています。体組成計の数値が高い状態が続く場合は、健康診断の血液検査や血圧の結果もあわせて確認しましょう。
最初にやることは、今の数値を正しく把握し、食事・運動・睡眠のうち一つから無理なく変えていくことです。内臓脂肪は皮下脂肪に比べて、生活習慣の改善が数値に表れやすいとされています(厚生労働省 e-ヘルスネット)。具体的な食事・運動の工夫は内臓脂肪を減らすにはでまとめています。
肥満症診療ガイドライン2022では、肥満症の減量目標を「3〜6カ月で今の体重の3%以上」としています。体重80kgの方なら約2.4kgです。この程度の減量でも、血圧や血糖などの数値の改善が期待できると報告されています。大きすぎる目標より、継続できる目標のほうが体質改善につながります。
忙しい方は、毎朝の体組成計チェックを習慣にするだけでも意識が変わります。数値の推移を記録すると、どの行動が効いているかを振り返れます。
食事療法や運動療法を続けても十分な効果が出ない場合、医師の診断のもとで薬物療法を検討することがあります。肥満症の効能をもつ注射薬には、ゼップバウンド(チルゼパチド、GIP/GLP-1受容体作動薬)とウゴービ(セマグルチド、GLP-1受容体作動薬)があります。どちらも週1回、自分で皮下に注射する薬です。GLP-1は食後に腸から出るホルモンで、食欲を抑える働きなどに関わっています。
効果には個人差があります。主な副作用は吐き気・嘔吐・下痢・便秘などの胃腸症状です。頻度は低いものの、重大な副作用として低血糖、急性膵炎、胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸などが電子添文に記載されています。糖尿病の薬と一緒に使うと、低血糖のリスクが高まる場合があります。必ず医師の診察と説明を受け、医師の管理のもとで使う必要があります。
なお、オゼンピック・リベルサス・マンジャロなどの糖尿病治療薬を、減量目的で使うことはおすすめできません。肥満症の治療としての承認を受けていない使い方は、副作用が起きたときの対応も含めてリスクがあります。
スリマルは、医師の診断に基づく肥満症を対象としたオンライン診療のサービスです。診察はZoomで行い、対面診療は行っていません。
治療の対象となる方 - 20歳以上で、BMIが27以上の方 - 医師の診断により肥満症と判断された方
治療の対象外となる方 - 20歳未満の方、BMIが27未満の方 - 美容目的・痩身ダイエット目的の方 - 糖尿病の薬(ビグアナイド系、SU剤、DPP-4阻害剤、SGLT2阻害剤、インスリン製剤など)の処方を受けている方 - 妊娠中または妊娠の可能性がある方(電子添文上、投与しないこととされています)
授乳中の方や、心臓病・腎臓病などの既往がある方は、診察時に医師が処方できるかを判断します。内臓脂肪レベルだけで処方の可否が決まるわけではありません。
料金の目安(税込・1カ月分) - ゼップバウンド: 2.5mg ¥36,410〜15mg ¥151,800 - ウゴービ: 0.25mg ¥19,800〜2.4mg ¥129,250
自由診療のため保険適用外で、全額自己負担です。診察料・配送料は無料で、処方は1カ月分ずつです。
内臓脂肪レベルはメーカー独自の目安です。医学的な基準は内臓脂肪面積100cm²、腹囲は男性85cm・女性90cmです。同じ条件で測った数値の推移を見ながら、無理なく継続できる生活習慣の改善から始めましょう。BMIが27以上で、健康診断の数値も気になる方は、肥満症の治療の対象になるか一度医師に相談してみてください。
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。