この記事は、BMIが27以上で、健康診断の「尿蛋白」や「eGFR」の結果が気になっている方に向けて書いています。
健診結果の腎臓の欄を、読まずに閉じていませんか? 腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなり悪くなるまで自覚症状がほとんど出ません。実は、肥満そのものが腎臓に負担をかけることが分かっています。
この記事では、肥満と腎臓の関係を科学的根拠に沿って整理します。そのうえで、無理なく継続できる対策を一緒に考えていきます。
BMI27以上で健診の尿蛋白やeGFRが気になる方へ。肥満関連腎臓病のしくみ、健診で見るべき数値、減量による改善、腎臓病がある方の注意点を解説します。数値が気になる方は医師に相談を。
医療監修
肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。
本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。
公開日: 2026-11-05
この記事は、BMIが27以上で、健康診断の「尿蛋白」や「eGFR」の結果が気になっている方に向けて書いています。
健診結果の腎臓の欄を、読まずに閉じていませんか? 腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなり悪くなるまで自覚症状がほとんど出ません。実は、肥満そのものが腎臓に負担をかけることが分かっています。
この記事では、肥満と腎臓の関係を科学的根拠に沿って整理します。そのうえで、無理なく継続できる対策を一緒に考えていきます。
肥満関連腎臓病は、肥満が原因になったり、悪化に関わったりする腎臓の病気です。日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」では、肥満症の診断に使う11の健康障害のひとつに挙げられています。
まず「肥満」と「肥満症」は意味が違います。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 肥満 | 脂肪が過剰にたまった状態で、BMI 25以上 |
| 肥満症 | 肥満に加え、肥満による健康障害がある(または予測される)ため、医学的に減量が必要な状態 |
BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で求める体格の指標です。体重が多いだけでは病気とは言えません。健康障害が伴ってはじめて「肥満症」と診断されます。
11の健康障害には、糖尿病などの耐糖能障害、脂質異常症、高血圧なども含まれます。いずれも腎臓に負担をかけやすい病気です。そのため、腎臓の問題が単独で起こることは少なく、ほかの健康障害と重なりがちなのが特徴です。
体重が増えると、腎臓は「働きすぎ」の状態になりやすくなります。主な仕組みは次の3つです。
腎臓には「糸球体(しきゅうたい)」という、血液をこす小さなフィルターがたくさんあります。体が大きくなると、処理する血液や老廃物の量も増えます。一方で、フィルターの数は増えません。
その結果、ひとつひとつの糸球体に高い圧力がかかります。これを「糸球体過剰ろ過」と呼びます。長く続くとフィルターが傷み、尿にたんぱく質が漏れ出しやすくなります。
肥満は高血圧や2型糖尿病を合併しやすい状態です。高い血圧は、腎臓の細い血管を少しずつ傷めます。血糖値が高い状態が続くことも、腎臓のダメージにつながります(肥満と高血圧の関係、肥満と糖尿病もあわせてご覧ください)。
内臓脂肪は、ただの「エネルギーの貯蔵庫」ではありません。炎症を起こす物質や、血圧を上げるホルモンの働きに関わる物質を出します。
さらに「インスリン抵抗性」も関わります。これは、血糖を下げるホルモン(インスリン)が効きにくくなった状態のことです。こうした変化が重なって、腎臓への負担が大きくなると考えられています。
腎臓の状態を知るには、まず「尿蛋白」と「eGFR」の2つを確認しましょう。日本腎臓学会は、どちらかの異常が3か月以上続く状態を「慢性腎臓病(CKD)」と定義しています。
健康な腎臓は、たんぱく質をほとんど尿に出しません。尿にたんぱく質が出ているのは、フィルターが傷んでいるサインです。
| 試験紙の結果 | 目安 |
|---|---|
| (−) | 基本的に異常なし |
| (±) | 境界域。再検査で確認するとよい |
| (+)以上 | 尿蛋白あり。医療機関での再検査を検討 |
運動の後や発熱時など、一時的に陽性になることもあります。1回の結果で決めつけず、再検査で確かめることが大切です。
eGFRは、腎臓が1分間にどれだけ血液をろ過できるかを推定した値です。単位はmL/分/1.73m²です。血液検査の「クレアチニン」の値と、年齢・性別から計算します。
| eGFR | 腎機能の区分(CKDのG分類) |
|---|---|
| 90以上 | G1:正常または高値 |
| 60〜89 | G2:正常または軽度低下 |
| 45〜59 | G3a:軽度〜中等度低下 |
| 30〜44 | G3b:中等度〜高度低下 |
| 15〜29 | G4:高度低下 |
| 15未満 | G5:末期腎不全 |
出典:日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」
60未満が続くと、慢性腎臓病の基準に当てはまります。
ここで注意したいのは、肥満の初期にはeGFRが「高め」に出ることがある点です。過剰ろ過の影響で、見かけ上は数値がよく見えることがあります。eGFRだけで安心せず、尿蛋白とあわせて見ましょう。
また、健診の種類によっては、クレアチニン(eGFR)が検査項目に入っていないこともあります。あなたの結果票に載っているか、一度確認してみてください。
減量によって、尿蛋白が減るなど腎臓への負担が軽くなることが、複数の研究で報告されています。ただし、効果には個人差があります。また、すでに傷んだ腎臓が元どおりになるとは限りません。
例えば、慢性腎臓病の方の減量治療を調べたメタ解析があります。食事や運動などの減量で、尿蛋白が減る傾向が示されました(Navaneethan SD, et al. Clin J Am Soc Nephrol. 2009)。メタ解析とは、複数の研究結果をまとめて分析する手法です。
肥満症診療ガイドライン2022では、肥満症の減量目標を「3〜6か月で現体重の3%以上」としています。
大幅な減量を急ぐ必要はありません。この程度の減量でも、血圧・血糖・脂質の改善が期待できるとされています。いずれも腎臓の負担に関わる数値です。
食事療法や運動療法を続けても十分な効果が得られない肥満症の方には、薬物療法という選択肢もあります。
国内で肥満症の効能を持つ注射薬には、ゼップバウンド(チルゼパチド)とウゴービ(セマグルチド)があります。どちらも週1回、自分で皮下に注射する薬です。食欲の調整などに関わる「GLP-1」というホルモンに似た働きをします。ゼップバウンドは、もうひとつのホルモン「GIP」にも作用します。
一方で、副作用にも注意が必要です。主な副作用は吐き気・嘔吐・下痢・便秘・腹痛などの消化器症状です。また、頻度は低いものの、重大な副作用として低血糖、急性膵炎、胆嚢炎・胆管炎・胆汁うっ滞性黄疸などが電子添文に記載されています。必ず医師の診断・管理のもとで使用してください。
なお、これらの薬は「肥満症」の治療薬です。腎臓病そのものを治療する目的の薬ではありません。
腎臓病がある方は、自己判断で食事制限を始めたり、薬を使ったりしないでください。必ず医師に相談しましょう。腎臓の状態によって、適切な対策が大きく変わるためです。
オゼンピック、リベルサス、マンジャロは2型糖尿病の治療薬です。肥満症の効能は持っていません。やせる目的で使うと、副作用が起きたときに適切な対応を受けにくくなるおそれがあります。
フリマアプリやSNSでの個人間売買や、処方薬の他人への譲渡は違法です(厚生労働省)。個人輸入の薬には、偽造品や健康被害のおそれがあります。また、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
スリマルは、医師の診断に基づく「肥満症」を対象としたオンライン診療サービスです。診察はZoomで行い、対面診療は行っていません。腎臓病の治療は行っていないため、腎臓の通院先とは別に相談する形になります。
SGLT2阻害剤は、慢性腎臓病の治療で処方されることもある薬です。服用中の方は、スリマルでの処方対象外となります。
妊娠中または妊娠の可能性がある方は、電子添文上、これらの薬を使用しません。慢性腎臓病・腎不全の既往がある方は、オンライン診察で医師が処方の可否を判断します。
スリマルは自由診療のため、保険適用外(全額自己負担)です。診察料・配送料は無料です。処方は1か月分のみで、定期購入はありません。
ゼップバウンド
| 用量 | 料金 |
|---|---|
| 2.5mg | ¥36,410 |
| 5mg | ¥55,435 |
| 7.5mg | ¥78,271 |
| 10mg | ¥109,868 |
| 12.5mg | ¥126,500 |
| 15mg | ¥151,800 |
ウゴービ
| 用量 | 料金 |
|---|---|
| 0.25mg | ¥19,800 |
| 0.5mg | ¥31,900 |
| 1.0mg | ¥50,996 |
| 1.7mg | ¥100,067 |
| 2.4mg | ¥129,250 |
腎臓の数値が気になったら、まずは健診結果を手元に用意してください。そのうえで、かかりつけの医師に相談してみましょう。肥満症の治療を検討したい方は、オンライン診療で医師に相談するのもひとつの方法です。
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。