食欲や血糖に関わるホルモン「GLP-1」を、毎日の食事で増やせないかと考えたことはありませんか? この記事は、肥満やメタボが気になり、薬に頼る前に食事でできることを知りたい方向けです。
GLP-1を大きく増やす「特別な食べ物」はありません。 ただ、食物繊維やたんぱく質のとり方、食べる順番、噛む回数で食後の分泌が変わったという小規模な研究はあります。いずれも、食べ物で体重が減ることを示したものではありません。 その科学的根拠と限界を、無理なく続けられる工夫と一緒に整理します。
GLP-1を食事で増やしたい方へ。食物繊維・たんぱく質・食べる順番・よく噛むことと分泌の関係を研究の限界とあわせて解説し、薬との違いも紹介。食事だけで難しいときは医師に相談を。
医療監修
肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。
本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。
公開日: 2026-11-05
食欲や血糖に関わるホルモン「GLP-1」を、毎日の食事で増やせないかと考えたことはありませんか? この記事は、肥満やメタボが気になり、薬に頼る前に食事でできることを知りたい方向けです。
GLP-1を大きく増やす「特別な食べ物」はありません。 ただ、食物繊維やたんぱく質のとり方、食べる順番、噛む回数で食後の分泌が変わったという小規模な研究はあります。いずれも、食べ物で体重が減ることを示したものではありません。 その科学的根拠と限界を、無理なく続けられる工夫と一緒に整理します。
GLP-1は、食事をとったときに小腸や大腸から出るホルモンです。 食べ物が腸に届いたことを合図に分泌されます。
正式名は「グルカゴン様ペプチド-1」です。 小腸の後半(回腸)から大腸にある「L細胞」という細胞が、主に分泌しています。
このように血糖と食欲の両方に関わるため、注目されています。 食事をきっかけにインスリン分泌を促すホルモンを「インクレチン」と呼びます。 GLP-1はその代表です。
体内で作られたGLP-1は、血液中で数分ほどで分解されます。 「DPP-4」という酵素がすばやく切断するためです(出典:Holst JJ. Physiol Rev. 2007;87:1409-1439)。
つまり、自然に出るGLP-1は食後に一時的に増え、短時間で元に戻ります。 この性質は、あとで説明する「薬との違い」を理解するうえで大切です。
GLP-1の分泌との関係が研究されている栄養素は、主に食物繊維・たんぱく質・脂質の3つです。 ただし多くは少人数の研究や短期の研究です。体重が減ることを示したものではありません。
水に溶ける「水溶性食物繊維」は、大腸で腸内細菌に分解(発酵)されます。 このとき「短鎖脂肪酸」という物質ができます。
短鎖脂肪酸はL細胞の受容体(物質を受け取る部分)を刺激し、GLP-1の分泌を促します。 この仕組みは細胞やマウスを使った研究で示されています(出典:Tolhurst G, et al. Diabetes. 2012;61:364-371)。
水溶性食物繊維を含む身近な食品
一度にたくさん食べるより、毎日少しずつとるほうが続けやすいです。 急に増やすとお腹が張ることもあるので、少しずつ慣らしましょう。
たんぱく質もL細胞を刺激すると考えられています。 2型糖尿病の方を対象にした研究があります。 朝食の30分前に乳清たんぱく(ホエイプロテイン)50gをとると、水だけの場合に比べて食後のGLP-1が増えました(出典:Jakubowicz D, et al. Diabetologia. 2014;57:1807-1811)。
なお、これは2型糖尿病の方15人を対象にした1回ずつの短期研究で、50gは日常的にとるには多い量です。 誰でも同じ結果になるわけではない点に注意してください。
たんぱく質を含む身近な食品
脂質も腸でGLP-1の分泌を促す刺激になります(出典:Holst JJ. 2007)。 ただし脂質は1gあたり約9kcalと高エネルギーです。 GLP-1のために油を増やすのは、肥満対策としては逆効果になりかねません。 オリーブオイルや青魚など質のよい脂を、適量とる意識で十分です。
「GLP-1サプリ」をうたう健康食品も見かけます。 しかし健康食品は医薬品ではありません。 肥満症の治療効果が確認されたものではない点を覚えておきましょう。
食べる順番と噛む回数は、お金をかけずに今日から試せる工夫です。 どちらも食後のGLP-1が増えたという研究があります。
2型糖尿病の方を対象にした日本の研究があります。 魚や肉を先に食べ、ごはんを15分後に食べました。 すると、ごはんを先に食べた場合に比べてGLP-1の分泌が増えました。 胃から腸へ食べ物が送られる速さもゆるやかになりました(出典:Kuwata H, et al. Diabetologia. 2016;59:453-461)。
海外でも似た報告があります。 2型糖尿病の方16人を対象にした研究で、野菜とたんぱく質を先に、炭水化物を10分後に食べると、炭水化物を先に食べた場合より食後のGLP-1が高くなりました(出典:Shukla AP, et al. BMJ Open Diabetes Res Care. 2017;5:e000440)。
実践しやすい順番の例
外食や定食でも、この順番なら取り入れやすいはずです。 ただし、これらは食後の血糖値やホルモンの変化を調べた短期の研究で、食べる順番だけで体重が減ることを示したものではありません。
健康な男性17人を対象にした研究があります。 同じ量のアイスクリームを5分で食べた場合と、30分かけて食べた場合を比べました。 30分かけたほうが、満腹に関わるGLP-1とPYYというホルモンが多く出ました(出典:Kokkinos A, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2010;95:333-337)。
あなたも、昼食を5分ほどで済ませていませんか? 次の工夫から試してみてください。
食事の工夫は「体が自分で出すGLP-1」の量を、食後に一時的に増やすものです。 一方、肥満症の治療薬は仕組みも持続時間も違います。 食べ物で薬と同じ効果が得られるわけではありません。
| 項目 | 食事で増えるGLP-1 | 肥満症の治療薬 |
|---|---|---|
| 正体 | 体内で作られる自然なホルモン | GLP-1などの受容体に作用するよう作られた医薬品 |
| 持続 | 数分で分解される | 分解されにくく作られ、週1回の皮下注射で使う |
| 位置づけ | 生活習慣の工夫 | 医師の診断と処方が必要 |
肥満症の治療に使われる注射薬には、ゼップバウンドとウゴービがあります。
どちらも週1回の自己皮下注射です。 少ない量から始め、4週間ごとに段階的に増やします。
電子添文には、主な副作用として吐き気・嘔吐・下痢・便秘などの胃腸症状が記載されています。 重大な副作用として、低血糖、急性膵炎、胆のう炎などにも注意が必要です。 効果にも副作用にも個人差があります。 必ず医師の診察を受け、医師の管理のもとで使用します。
薬の対象は、医師が「肥満症」と診断した場合です。 日本肥満学会の定義は次のとおりです。
さらに電子添文では、肥満症に対して次の条件が定められています。
食事の工夫は、薬を使う場合も土台になる取り組みです(治療中の食事は「GLP-1治療中の食事」で紹介しています)。
食事や運動を続けても体重や健診の数値が改善しないときは、一人で抱え込まず医師に相談しましょう。 肥満症かどうかは、医師の診察で判断します。
健康診断で血圧・脂質・血糖などに指摘はありませんか? 肥満に関係する健康障害があれば、肥満症の可能性があります。 「意志が弱いから」と自分を責める必要はありません。 体の仕組みを知り、医学的に向き合うことが体質改善の一歩になります。
オゼンピック・リベルサス・マンジャロは2型糖尿病の治療薬です。 肥満症の適応はありません。 減量目的で使うのは承認された使い方ではなく、副作用が起きたときのリスクが大きくなります。
個人輸入した医薬品には、偽造品や健康被害のおそれがあります。 医薬品副作用被害救済制度の対象にもなりません。 また、フリマアプリやSNSでの処方薬の個人間売買や、他人への譲渡は違法です(出典:厚生労働省「マンジャロ・リベルサスなどの2型糖尿病治療薬の美容・痩身目的での使用による健康被害にご注意ください」)。
通院の時間がとりにくい方には、オンライン診療という方法もあります。 スリマル(運営:株式会社MICIN)は、医師の診断に基づく肥満症を対象としたオンライン診療です。 診察はZoomで行います。
治療の対象になる方
治療の対象外となる方
また、妊娠中または妊娠の可能性がある方には、電子添文上、両剤とも投与しません。
授乳中の方や、心臓病・腎臓病などの既往がある方は、医師が診察で処方の可否を判断します。
料金の目安(税込・1ヶ月分)
自由診療のため公的医療保険は使えず、全額自己負担です。 診察料・配送料は無料で、処方は1ヶ月分ずつです。 対面診療は行っていません。
食事の工夫を続けながら、必要に応じて専門的な治療も検討する。 それが、無理なく継続できる肥満症対策につながります。 「自分は肥満症にあたるのか」「治療が必要か」と迷ったら、まずは医師に相談してみてください。
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。