GLP-1(食欲や血糖の調節に関わるホルモンに似た薬の総称)には、ゼップバウンド(一般名チルゼパチド)やウゴービ(一般名セマグルチド)があります。これらを中止した後に体重が増える現象は、複数の臨床試験で報告されています。
ただ、これは治療の「失敗」ではありません。肥満症が、高血圧や糖尿病と同じ慢性疾患であることを示すサインです。大切なのは、戻りのメカニズムを知り、医師の管理下で中止や減薬を設計することです。中止を自己判断で行わないでください。

ゼップバウンド・ウゴービをやめるとリバウンドする?STEP 1延長試験では中止1年後に減った体重の約3分の2が戻りました(個人差があります)。仕組みと防ぐ方法を解説。治療の適応は医師にご相談ください。
医療監修
肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。
本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。
公開日: 2026-04-15
最終更新日: 2026-10-27
GLP-1治療をやめると、多くの場合で体重は戻る傾向があります。ただし「やめた瞬間に即リバウンド」ではなく、戻り方は中止のしかたと生活習慣で大きく変わります。
GLP-1(食欲や血糖の調節に関わるホルモンに似た薬の総称)には、ゼップバウンド(一般名チルゼパチド)やウゴービ(一般名セマグルチド)があります。これらを中止した後に体重が増える現象は、複数の臨床試験で報告されています。
ただ、これは治療の「失敗」ではありません。肥満症が、高血圧や糖尿病と同じ慢性疾患であることを示すサインです。大切なのは、戻りのメカニズムを知り、医師の管理下で中止や減薬を設計することです。中止を自己判断で行わないでください。
体には「維持しようとする体重の基準値」があると考えられています。これを体重セットポイントと呼びます。GLP-1治療中はこの基準が下がりますが、中止すると元に近づきます。
GLP-1受容体作動薬が体重を減らす主な仕組みは次のとおりです。
投与をやめると、これらの作用は数週間かけて徐々に消えていきます。すると食欲の調節機能が元の状態に近づき、自然と食事量が増えやすくなります。
さらに、減量中は基礎代謝(安静時に使うエネルギー)が下がる傾向があります。代謝が完全に回復しないうちに食欲だけ戻ると、体重が戻りやすくなります。これが「セットポイントへの回帰」と呼ばれる戻りの正体です。あなたの意志が弱いからではありません。
ウゴービの試験では、中止から1年で減った体重の約3分の2が戻ったと報告されています。一方、治療を続けた群では減量が維持されました。
セマグルチド(ウゴービ)のSTEP 1試験では、68週間の投与で平均約14.9%の体重減少が報告されました。その延長研究では、投与終了から1年後に、減った体重の約3分の2が戻り、開始時点と比べ差し引き約5.6%減にとどまったとされています。
チルゼパチド(ゼップバウンド)のSURMOUNT-4試験でも同様の傾向が見られます。36週間投与した後にプラセボ(有効成分を含まない偽薬)へ切り替えた群は約14%リバウンドし、治療を続けた群はさらに減量しました。
これらのデータは、肥満症の薬物療法における継続の重要性を示す科学的根拠です。ただし戻り方には個人差があり、すべての方が同じ経過をたどるわけではありません。
最大のポイントは、治療中に食事と運動の習慣を整えておくことです。薬の効果が出ている間に、無理なく継続できる生活へ移行しておきます。
戻りを完全に防ぐ方法はありませんが、戻り幅をやわらげる工夫はあります。
「薬をやめたら終わり」ではなく、やめた後の数か月をどう過ごすかが、長期的な体重管理の分かれ目になります。
自己判断での中止は、急な食欲の戻りや体重の戻りを招きやすく、おすすめできません。中止のタイミングと方法は必ず医師と相談してください。
GLP-1治療には、吐き気・下痢・便秘・嘔吐などの副作用が知られています。他の血糖を下げる薬と併用する場合は低血糖のリスクもあります。副作用がつらい場合でも、いきなりやめるのではなく、まず医師に相談してください。用量の調整や増量ペースの見直しで対応できることがあります。
GLP-1治療は、医師の診察と管理のもとで使う薬です。効果にも副作用にも個人差があります。中止後に体重が大きく戻ったときに治療を再開できるかどうかも、事前に確認しておくと安心です。
減薬は「ゼロか継続か」の二択ではありません。医師の判断のもとで用量を段階的に下げ、生活習慣の定着を見ながら調整していく設計が現実的です。
肥満症は慢性疾患のため、治療をいつ・どう終えるかは一人ひとり異なります。医師は体重の推移、合併症、生活習慣の定着度を見ながら、継続・減量・中止を判断します。急な中止を避け、徐々に用量を下げる進め方が選ばれることもあります(医師の判断によります)。
スリマル(運営:株式会社MICIN)は、医師の診断に基づく肥満症を対象とした肥満症オンライン診療 のサービスです。自由診療(自費)で、対面診療や保険診療は行っていません。診察はZoomで行い、中止や減薬の相談も継続したフォローのなかで対応します。
なお、20歳未満の方、初診時のBMIが27未満の方、美容・痩身ダイエット目的の方、一部の糖尿病治療薬を使用中の方は処方の対象外です。
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。