この記事は、韓国旅行で「ダイエット薬」を処方してもらおうか迷っている方や、すでに持ち帰った方に向けた記事です。成分と副作用、日本の輸入ルールを、公的な情報をもとに整理しました。
「韓国の病院なら短期間で痩せる薬がもらえる」。SNSでそんな話を見かけたことはありませんか?手軽に見えますが、中身を知らずに飲むと健康面でも法律面でも思わぬリスクがあります。
韓国のダイエット薬が気になる方へ。含まれることがある食欲抑制剤と副作用、向精神薬の持ち帰り・郵送の規制を厚生局の情報をもとに解説。体調に不安があれば服用をやめて医師に相談を。
医療監修
肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。
本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。
公開日: 2026-11-05
この記事は、韓国旅行で「ダイエット薬」を処方してもらおうか迷っている方や、すでに持ち帰った方に向けた記事です。成分と副作用、日本の輸入ルールを、公的な情報をもとに整理しました。
「韓国の病院なら短期間で痩せる薬がもらえる」。SNSでそんな話を見かけたことはありませんか?手軽に見えますが、中身を知らずに飲むと健康面でも法律面でも思わぬリスクがあります。
韓国の「ダイエット処方薬」は、SNSなどで「複数の薬を1回分ずつまとめて渡される処方」として紹介されることが多いものです。食欲抑制剤を中心に、利尿薬や下剤などが組み合わされていると紹介される例があります。ただし、処方内容は医療機関や個人によって異なり、公的な統計はありません。
注意したいのは、次の3点です。
「処方薬だから安全」とは限りません。処方された国の医師が日本での規制まで考えているとは限らないためです。
韓国のダイエット処方で話題になることがある食欲抑制剤の成分と、日本での扱いを下の表にまとめました。区分は、関東信越厚生局・近畿厚生局が公表している携帯輸出入の一覧で確認できたものです(いずれの一覧でも第3種向精神薬に分類されています)。
| 成分のタイプ | 主な成分例 | 日本での扱い |
|---|---|---|
| 食欲抑制剤 | フェンテルミン | 第3種向精神薬 |
| 食欲抑制剤 | フェンジメトラジン | 第3種向精神薬 |
| 食欲抑制剤 | アンフェプラモン(ジエチルプロピオン) | 第3種向精神薬 |
| 食欲抑制剤 | マジンドール | 第3種向精神薬 |
| 利尿薬・下剤など | 製品により異なる | 成分ごとに確認が必要 |
出典: 関東信越厚生局「医療用向精神薬を携帯して出入国する際の総量一覧表」、近畿厚生局「携帯輸出入にあたり証明書類の携帯が必要な向精神薬の量について」
向精神薬とは、脳に作用し、乱用や依存のおそれがあるため法律で取り扱いが厳しく決められている薬のことです。日本では「麻薬及び向精神薬取締法」で規制されています。
利尿薬は尿を増やして体の水分を出す薬、下剤は排便を促す薬です。どちらも体脂肪を減らす薬ではありません。一時的に体重計の数字が下がっても、それは主に水分や腸の内容物が減った分です。
食欲抑制剤のフェンテルミンなどは、交感神経(体を興奮・緊張状態にする神経)を刺激して食欲を抑える薬です。フェンテルミンは日本では承認されていないため、日本の電子添文はありませんが、この種類の薬では一般に次のような副作用が知られています。
利尿薬や下剤を一緒に使うと、さらに次のような影響が重なる場合があります。
心臓病や高血圧がある方では、これらの副作用が重い症状につながるおそれがあります。持病がある方、ほかの薬を飲んでいる方は特に注意が必要です。
また、薬をやめたあとに食欲が戻り、体重も戻りやすい点も知っておきたいところです。体質改善につながる食事や生活習慣を変えないまま、薬だけに頼ると、継続できる結果にはなりにくいと考えられます。
向精神薬を含む薬は、本人が携帯して持ち帰る場合に限って 輸入が認められています。郵送や、知人に託して運んでもらうことはできません(本人と一緒に行動する付添人が代わりに携帯することは認められています)。
厚生労働省と地方厚生局の情報をもとに、ポイントを整理します。
向精神薬の個人輸入は、治療のために処方された本人が携帯して入国する場合に限られます。
出典: 厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」、関東信越厚生局「麻薬、向精神薬及び医薬品である覚醒剤原料の携帯輸出入許可申請について」
飲み薬の向精神薬は、成分ごとに定められた総量を超える場合、処方箋の写しなど、治療のために必要であることを証明する書類を携帯する必要があります。主な総量は次のとおりです(関東信越厚生局・近畿厚生局の一覧による)。
さらに、用法用量からみて1ヶ月分を超える量を持ち込む場合は、事前に「輸入確認証」の手続きも必要です。注射剤は量にかかわらず書類の携帯と輸入確認証の手続きが必要です。
向精神薬でない処方薬でも、個人輸入で手続きなしに持ち込めるのは、用法用量からみて 1ヶ月分以内 です。それを超える場合は、地方厚生局への輸入確認の申請が必要です。
持ち帰った薬やフリマアプリ・SNSで手に入れた薬を、他人に譲ったり売ったりすることは違法です。「余ったから友人にあげる」も対象になります。
出典: 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
成分名が分からない薬は、規制の対象かどうかを自分で判断できません。持ち帰る前に、成分名と量を必ず確認しましょう。
体調に異変を感じたら、まず服用をやめて、医療機関を受診してください。次のような症状は、早めの受診が必要なサインです。
受診するときは、次のものを持参すると診察がスムーズです。
なお、個人輸入した医薬品で健康被害が起きても、日本の「医薬品副作用被害救済制度」の対象外です。この制度は、国内で承認された医薬品を適正に使用した場合の副作用を救済するものだからです。
日本には、肥満症の治療薬として承認された薬があります。スリマルで扱っているのは、ゼップバウンド(チルゼパチド)とウゴービ(セマグルチド)です。どちらも週1回の自己皮下注射で、医師の診断と管理のもとで使います(このほか、高度肥満症に限って使う飲み薬のサノレックス〈マジンドール〉も国内で承認されています)。
韓国のダイエット処方との大きな違いは、次の3点です。
日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2022」では、BMI25以上を「肥満」としています。そのうえで、肥満に関連する健康障害(2型糖尿病、脂質異常症、高血圧など)があり、医学的に減量が必要な状態を「肥満症」と呼びます。
また、両剤の肥満症の効能には、「食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない」という条件があります。薬は食事や運動の代わりではなく、それらと組み合わせて使うものです。
ゼップバウンド・ウゴービにも副作用があります。主なものは吐き気、下痢、便秘などの胃腸症状です。ほかの糖尿病の薬と併用すると、低血糖のリスクが高まることもあります。効果にも副作用にも個人差があるため、医師の診察と説明を受けたうえで使う必要があります。
なお、オゼンピック・リベルサス・マンジャロは2型糖尿病の治療薬で、肥満症の効能はありません。減量目的で使うことはおすすめできません。
スリマルは、肥満症を対象とした オンライン診療 です。自由診療(保険適用外)のため、費用は全額自己負担 です。対面診療は行っていません。
治療の対象になる方: 20歳以上、BMI27以上で、医師の診断により肥満症にあたる方
対象外となる方
妊娠中または妊娠している可能性のある方には、両剤とも投与されません。授乳中の方や心臓病の既往がある方などは、医師が診察で処方の可否を判断します。
料金(税込・1ヶ月分)
| ゼップバウンド | 料金 | ウゴービ | 料金 |
|---|---|---|---|
| 2.5mg | ¥36,410 | 0.25mg | ¥19,800 |
| 5mg | ¥55,435 | 0.5mg | ¥31,900 |
| 7.5mg | ¥78,271 | 1.0mg | ¥50,996 |
| 10mg | ¥109,868 | 1.7mg | ¥100,067 |
| 12.5mg | ¥126,500 | 2.4mg | ¥129,250 |
| 15mg | ¥151,800 | — | — |
診察料・配送料は無料です。処方は1ヶ月分ずつで、定期購入はありません。出典: スリマル 料金ページ
韓国のダイエット処方薬には、日本で向精神薬に指定されている食欲抑制剤が含まれることがあります。郵送での輸入はできず、持ち帰れる量にも上限があります。中身の分からない薬に頼るより、自分の体の状態を知ることが無理なく続ける第一歩です。
BMIが27以上で、健康診断の結果や持病が気になる方は、肥満症にあたるかどうかを一度医師に相談してみてはいかがでしょうか。
規制の内容は改正されることがあります。薬を持ち帰る前には、最新の情報を各地方厚生局のウェブサイトでご確認ください。
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。