この記事は、肥満症治療でゼップバウンドやウゴービを検討している方に向けたものです。「気分が落ち込むのでは」と心配な方、うつ病などで治療を受けている方を想定しています。
「やせ薬でうつになる」という話を聞いて、不安になっていませんか? このような話は、GLP-1受容体作動薬(食欲や血糖に関わるホルモンの働きを利用した薬)の普及とともに広まりました。 この記事では、規制当局の評価と電子添文の記載という一次情報をもとに、わかっていることとわかっていないことを分けて説明します。
肥満症治療を検討中の方へ。ゼップバウンド・ウゴービで気分が落ち込むことはある?うつとの関係をFDA・EMAの評価と電子添文をもとに整理し、精神疾患の治療中の方の注意点と相談先も紹介。不安な方は医師にご相談ください。
医療監修
肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。
本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。
公開日: 2026-11-05
この記事は、肥満症治療でゼップバウンドやウゴービを検討している方に向けたものです。「気分が落ち込むのでは」と心配な方、うつ病などで治療を受けている方を想定しています。
「やせ薬でうつになる」という話を聞いて、不安になっていませんか? このような話は、GLP-1受容体作動薬(食欲や血糖に関わるホルモンの働きを利用した薬)の普及とともに広まりました。 この記事では、規制当局の評価と電子添文の記載という一次情報をもとに、わかっていることとわかっていないことを分けて説明します。
欧州と米国の規制当局は、どちらも自殺念慮・自殺行動などとの「因果関係を裏付ける根拠はない」と評価しています。 ただし、気分の変化は個人差が大きいものです。気になる変化があれば、すぐに医師へ相談することが大切です。
2023年7月、自殺念慮や自傷の考えに関する症例報告をきっかけに、EMAの安全性委員会(PRAC)が調査を始めました。 2024年4月、PRACは次のように結論づけています。
調査では、臨床試験や市販後の報告に加えて、大規模な電子カルテデータの研究も検討されました。 出典: EMA PRAC 2024年4月会合のハイライト
FDAは2024年1月の暫定評価で「関連を示す根拠はない」としていました。 一方、その時点では「小さなリスクの可能性は否定できない」とも述べています。
その後、2026年1月13日、FDAは評価結果を公表しました。 米国の肥満症治療薬3剤(ゼップバウンド、ウゴービ、サクセンダ)について、警告欄から自殺念慮・自殺行動の記載を削除するよう企業に求めたのです。
FDAが検討したデータは次のとおりです。
臨床試験の解析でも、データベース研究(意図的な自傷の比較)でも、リスク上昇は認められませんでした。 不安・うつ・易刺激性(イライラしやすさ)・精神病といった精神面の有害事象も、増加は認められなかったと報告されています。 一方でFDAは、「新たなうつや悪化、自殺念慮、気分や行動の異常な変化があれば医療者に伝えてください」とも呼びかけています。 出典: FDA Drug Safety Communication(2026年1月13日)
日本の電子添文(医療用医薬品の公式な説明書)も確認しました。 最新版のゼップバウンド(2026年9月改訂 第6版)とウゴービ(2026年6月改訂 第7版)には、うつや自殺念慮に関する注意の項目はありません。なお、ウゴービの「その他の副作用」には不眠症(0.5〜1%未満)が記載されています。 本記事作成時点の版での確認です。改訂されることがあるため、最新版はゼップバウンド・ウゴービのPMDAページで確認してください。
両剤の主な副作用は、吐き気・下痢・便秘・嘔吐などの胃腸症状です。 ほかに、重大な副作用として急性膵炎、胆嚢炎などの胆道の病気、イレウス(腸閉塞を含む)、低血糖(特に糖尿病の薬と併用する場合)などが記載されています。 「関連が示されていない」は「誰にも起こらない」という意味ではありません。そこを分けて考えましょう。
副作用全体については、ゼップバウンドの副作用・ウゴービの副作用の記事でも解説しています。
うつ病などで治療中の方は、肥満症治療を始める前に、必ず精神科・心療内科の主治医に相談してください。 そのうえで、肥満症治療の医師にも治療中であることを伝えましょう。
肥満症治療が始まると、生活のいくつかの面が同時に変わります。
主治医は、あなたの症状が安定しているかどうかを知っています。 今が新しい治療を始めてよい時期かどうかは、主治医と一緒に判断するのが安心です。
スリマルは、医師の診断に基づく肥満症を対象としたオンライン診療です。 自由診療(保険が使えず、全額自己負担)で、対面診療は行っていません。
処方の対象になるのは、次の条件をすべて満たす方です。
次の方は処方の対象外です。
妊娠中または妊娠の可能性がある方には、両剤とも投与しません。 授乳中の方や、心臓・腎臓の病気がある方などは、診察で医師が個別に判断します。
食欲が落ちて「食べる楽しみが減った」と感じる方はいます。 これは薬の作用で予想される変化の一つですが、「何をしても楽しくない」状態が続くなら、別の問題として相談が必要です。
ゼップバウンドもウゴービも、脳に働きかけて食欲を抑えます。 「好物を前にしても以前ほど食べたくない」と感じるのは、この作用によるものかもしれません。
一方、次のような状態は食欲の変化だけでは説明できません。
これらはうつ病でみられる症状と重なります。 薬が原因かどうかに関係なく、早めに医師へ伝えてください。
疲れやすさやだるさには、体の側の原因が隠れていることもあります。
ゼップバウンドの電子添文には、その他の副作用として「疲労」も挙げられています。 「やる気が出ないのは自分のせい」と抱え込まず、体調の変化として医師に伝えましょう。
肥満症治療は、食事療法・運動療法と組み合わせて続けるものです。 食べる量が減っても、たんぱく質や水分は意識してとりましょう。少量でも栄養のある食事を心がけることが大切です。 つらさを我慢して治療を続ける必要はありません。 無理なく続けるには、用量や続け方を医師と相談しながら決めることが大切です。
気分の落ち込みや「死にたい」という気持ちが出たら、ひとりで抱えずにすぐ相談してください。 命に関わる緊急時は、迷わず119番に電話しましょう。
自己判断で急に薬をやめたり増やしたりせず、まず医師に相談してください。
夜間や休日など、すぐに医療者に連絡できないときは公的な窓口があります。
窓口の一覧は、厚生労働省の「まもろうよ こころ」でも確認できます。
本人が気づきにくい変化を、周りの人が先に気づくこともあります。 口数が減った、外出しなくなったなどの変化があれば、声をかけてみてください。 そのうえで受診や相談につなげましょう。
精神科の薬を飲んでいる方は、必ず診察時にすべての薬を伝えてください。 飲み合わせについては、医師と薬剤師の確認が欠かせません。
ゼップバウンドの電子添文には、胃内容物排出遅延作用(食べ物が胃から腸へ送られるのを遅らせる作用)が記載されています。 この作用によって、一緒に飲む内服薬の吸収のされ方が変わる可能性があります。
電子添文では、「治療域の狭い薬剤」(効く量と副作用が出る量の差が小さい薬)の飲み薬と併用する場合、患者の状態を慎重に観察するよう求めています。 精神科の薬にも、血中濃度の管理が必要なものがあります。 該当するかどうかは、主治医や薬剤師に確認してください。
治療の開始時や増量のときは、吐き気や下痢が起こりやすくなります。 嘔吐で飲み薬を吐いてしまったり、脱水で体の状態が変わったりすることもあります。 両剤の電子添文には、下痢・嘔吐による脱水と、急性腎障害への注意が記載されています。 胃腸症状が続くときは、精神科の薬への影響も含めて医師に相談しましょう。
精神科の薬のなかには、食欲や体重に影響するものがあります。 体重が気になっても、自己判断で精神科の薬を減らしたりやめたりしないでください。 薬の調整は主治医の領域です。肥満症治療とあわせて相談するのが安全です。
オゼンピック・リベルサス・マンジャロは、2型糖尿病の治療薬です。肥満症の適応はありません。 減量目的でこれらを使うと、適切な管理を受けられないおそれがあります。 低血糖などの副作用への対応が遅れるリスクもあるため、おすすめしません。
スリマルは、医師の診断に基づく肥満症を対象とした、Zoomによるオンライン診療です。 自由診療のため保険は使えず、費用は全額自己負担です。1ヶ月分ずつの処方で、診察料・配送料は無料です。
| 薬剤 | 開始用量の料金(税込・1ヶ月分) |
|---|---|
| ゼップバウンド 2.5mg | ¥36,410 |
| ウゴービ 0.25mg | ¥19,800 |
用量ごとの料金は料金ページをご覧ください。 効果や副作用には個人差があり、処方できるかどうかは診察で医師が判断します。
「自分は治療の対象になるのか」「今の薬と一緒に使えるのか」と気になる方は、まず医師に相談してみてください。
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。