食事を減らすと、たんぱく質の摂取量も一緒に減りがちです。 主食やおかずをまとめて減らすと、筋肉の材料が足りなくなります。
筋肉は体を動かすだけでなく、血糖の調整にも関わっています。 筋肉量を保てれば、日常の活動量も維持しやすくなります。 目指したいのは「体重を落とすこと」ではなく、継続できる生活習慣への体質改善です。
減量中は脂肪だけでなく筋肉も減ることがあります。食事摂取基準にもとづくたんぱく質の目安や食品例、GLP-1薬で食事量が減ったときの工夫、注意が必要な人を解説します。迷ったら医師に相談しましょう。
医療監修
肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。
本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。
公開日: 2026-10-27
結論からお伝えします。減量中は、脂肪と一緒に筋肉も減ることがあります。 筋肉を保つには、たんぱく質を十分にとることと運動を続けることの両方が大切です。
食事を減らすと、たんぱく質の摂取量も一緒に減りがちです。 主食やおかずをまとめて減らすと、筋肉の材料が足りなくなります。
筋肉は体を動かすだけでなく、血糖の調整にも関わっています。 筋肉量を保てれば、日常の活動量も維持しやすくなります。 目指したいのは「体重を落とすこと」ではなく、継続できる生活習慣への体質改善です。
体は、使うエネルギーより食べる量が少ないと、蓄えから不足分をまかないます。 主に使われるのは脂肪ですが、筋肉のたんぱく質も分解されることがあります。
体重は、脂肪と「除脂肪量」に分けて考えられます。 除脂肪量とは、筋肉や骨、水分など脂肪以外の重さのことです。
減量薬の臨床試験でもこの点は調べられています。 ウゴービ(セマグルチド)のSTEP 1試験では、DEXA(体組成を測る検査)で一部の参加者を解析しました。 その結果、脂肪量だけでなく除脂肪量も減っていたと報告されています(Wilding JPH, et al. N Engl J Med. 2021)。 ゼップバウンド(チルゼパチド)のSURMOUNT-1試験でも、同じような解析が行われています(Jastreboff AM, et al. N Engl J Med. 2022)。
筋肉は、日々「分解」と「合成」を繰り返しています。 分解が合成を上回ると、筋肉量が減っていきます。
合成を後押しするのが、材料になるたんぱく質と、筋肉への刺激になる運動です。 食事だけ、運動だけではなく、両方を組み合わせるのがポイントです。
結論として、18〜64歳の推奨量は男性で1日65g、女性で1日50gです。 目安は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で確認できます。
| 年齢 | 男性の推奨量 | 女性の推奨量 |
|---|---|---|
| 18〜64歳 | 65g/日 | 50g/日 |
| 65歳以上 | 60g/日 | 50g/日 |
出典: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
「推奨量」とは、ほとんどの人が必要量を満たせると考えられる量です。
同じ基準では、生活習慣病予防のための「目標量」も示されています。 総エネルギーに占めるたんぱく質の割合で、次のとおりです。
肥満症診療ガイドライン2022(日本肥満学会)でも、減量中の食事は、たんぱく質を指示エネルギーの13〜20%とする配分が示されています。
たとえば1日1,600kcalの食事なら、13〜20%は約52〜80gにあたります。 (たんぱく質は1gあたり約4kcalで計算)
必要な量は、体格や持病、活動量で変わります。 持病がある方は、自己判断で量を大きく増やさず、医師に確認しましょう。
結論として、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品が身近なたんぱく質源です。 身近な食品のたんぱく質量を、まとめてみました。
| 食品 | 目安量 | たんぱく質(約) |
|---|---|---|
| 鶏むね肉(皮なし) | 100g | 23g |
| しろさけ | 1切れ80g | 18g |
| 鶏卵 | 1個50g | 6g |
| 木綿豆腐 | 1/3丁100g | 7g |
| 納豆 | 1パック45g | 7g |
| 牛乳 | コップ1杯200g | 7g |
| ヨーグルト(無糖) | 100g | 4g |
出典: 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より算出
3食に分けると、無理なく量を確保しやすくなります。
これで合計約68gです。ここに主食や野菜のたんぱく質も加わります。
同じ食品ばかりにすると、続けにくくなります。 食品を組み合わせると、ほかの栄養素もとりやすくなります。
GLP-1受容体作動薬などの肥満症治療薬を使うと、食欲が落ちて食事量が減ることがあります。 少ない量でも、たんぱく質を確保する工夫が役立ちます。
ウゴービとゼップバウンドの電子添文では、吐き気、下痢、便秘、嘔吐などの胃腸症状がよく報告されています。 まれに、急性膵炎や胆のうの病気などの重大な副作用もあります。 ほかの糖尿病薬と併用すると、低血糖が起こることもあります。
次のような場合は、早めに医師に相談してください。
脱水を防ぐため、こまめな水分補給も意識しましょう。 治療薬は、医師の診断・管理のもとで使用するものです。
たんぱく質をとるだけでは、筋肉の維持は十分ではありません。 筋肉に「使われている」という刺激を与えることが大切です。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人に次の目安が示されています。
時間がとれないあなたも、次のような方法なら取り入れやすいはずです。
いきなり強度を上げると、けがや疲労の原因になります。 少しずつ回数や時間を増やし、継続できるペースを見つけましょう。 心臓病や関節の病気がある方は、運動を始める前に医師に相談してください。
すべての人に「たんぱく質を増やすほど良い」わけではありません。 次のような方は、たんぱく質の量に注意が必要です。
慢性腎臓病(CKD)では、病気の段階によって、たんぱく質の制限が必要になることがあります。 腎臓に負担をかけないためです(日本腎臓学会「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」)。
健康診断で腎機能(eGFRや尿たんぱく)を指摘された方も、主治医に確認しましょう。
プロテインなどの補助食品を使う場合も同じです。 とりすぎるとエネルギー過多になることもあるため、量を確認しましょう。 持病がある方は、自己判断で増やさず、医師や管理栄養士に相談してください。
減量中のたんぱく質について、ポイントを振り返ります。
食事や運動の効果には個人差があります。 食事療法・運動療法を続けても体重管理が難しい場合、医師の診断のもとで「肥満症」の治療を検討する選択肢もあります。
肥満症とは、肥満に加えて、高血圧や脂質異常症など肥満に関連する健康障害があるか、その合併が予測され、医学的に減量が必要な状態です。 見た目のための「ダイエット」とは区別されます。
スリマルは、Zoomによる肥満症のオンライン診療を行っています。 自由診療のため保険は適用されず、全額自己負担です。対面診療は行っていません。 処方薬はウゴービとゼップバウンドで、処方対象は肥満症のみです。
次の方は処方の対象外です。
妊娠中または妊娠の可能性がある方には、電子添文上、両剤とも投与しないこととされています。 治療薬には吐き気・下痢・便秘などの副作用やリスクがあり、医師の診断・管理のもとで使用します。治療の可否は、医師の診察と説明を受けたうえで判断されます。
自分が治療の対象になるか気になる方は、まず医師に相談してみてください。
本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の治療効果を保証するものではありません。治療の適応は個別の診察により判断されます。効果・副作用には個人差があります。気になる症状や治療をご検討の方は、必ず医師にご相談ください。