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GLP-1の副作用「吐き気」はなぜ起きる?原因・対処法・慣れるまでの期間を解説

GLP-1製剤を使った肥満症の治療を始めた方や、これから始めようと考えている方の中には、「吐き気が心配だな…」と感じている方もいるかもしれませんね。実は、GLP-1製剤の副作用で一番多いのが、吐き気や嘔吐といった胃腸の不調だと報告されています。 でも、この吐き気は、薬がちゃんと効いている証拠でもあり、体が薬に順応していく「胃腸の慣れ」という大切な過程でもあります。なぜGLP-1製剤で吐き気が起きるのか、そしてどうすれば対処できるのかを一緒に見ていきましょう。

医療監修

肥満症・代謝疾患領域の医療情報について、医療ガイドラインおよび医学論文を参考に編集しています。

本記事は肥満症治療に関する医療情報を提供するものです。GLP-1受容体作動薬などの薬剤には副作用やリスクがあります。治療効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。詳細は医師にご相談ください。

公開日: 2026-04-16

GLP-1製剤の吐き気はなぜ起きる?2つのメカニズム

GLP-1製剤が胃の動きと脳の嘔吐中枢に作用することで吐き気が起きます。末梢性・中枢性の2つのメカニズムを解説します。

GLP-1製剤は、私たちが食事をした後に体内で自然に分泌されるホルモン「GLP-1」と同じような働きをする薬です。GLP-1は、主に小腸から出てくるホルモンで、血糖値を調整するのに大事な役割を果たしています。GLP-1の主な働きは次の通りです。

  1. インスリンを出やすくする:血糖値が高い時に、膵臓からインスリンの分泌を促し、血糖値を下げます。(ただし、血糖値が低い時には働きません)
  2. グルカゴンを抑える:血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンが出過ぎるのを抑えます。
  3. 胃の動きをゆっくりにする:食べ物が胃から小腸へ送られるのを遅らせて、食後の急な血糖値の上昇を抑えます。
  4. 食欲を抑える:脳にある食欲をコントロールする部分に働きかけ、食欲自体を抑えることで食事量を減らします。

このGLP-1が、脳と胃の2つの場所に作用することで、胃の動き(ぜんどう運動)をゆっくりにし、吐き気を引き起こします。

① 胃の動きを遅くする作用(末梢性作用)

  • 胃の壁にはGLP-1を受け取る場所(受容体)があり、薬がここに直接作用して胃の動きを抑え、食べ物が胃から小腸へ移動する速度を遅くします(胃内容物排出遅延作用)。
  • この作用のおかげで、少ない量でも満腹感が得られやすく、食欲が抑えられるため、体重が減る効果に繋がります。しかし、その反面、胃の中に食べ物や消化液が長く留まることで、「満腹すぎる」と感じたり、胃液が逆流しやすくなったりして、それが不快感や吐き気として脳に伝わります。

② 脳の嘔吐中枢への直接的な刺激(中枢性作用)

  • GLP-1を受け取る受容体は、胃腸だけでなく、脳の一部、特に吐き気や嘔吐の指令を出す「嘔吐中枢」にもあります。
  • 薬の成分が血液によってこの嘔吐中枢に運ばれ、嘔吐中枢から胃の動きを抑える信号が出されることで、胃からの排出を遅らせ、直接的に吐き気を引き起こします。

吐き気はいつまで続く?体が殺れるまでの期間

GLP-1の吐き気は一時的なものがほとんど。治療開始直後・増量時に出やすく、多くの方が数週間〜1〜2ヶ月で落ち着きます。

結論から言うと、GLP-1製剤による吐き気は一時的なものが多く、ほとんどの方が体が薬に慣れていく(順応していく)過程で落ち着いてきます。

吐き気が出やすいタイミング

吐き気は、主に以下のタイミングで強く出やすいことが分かっています。

  • 治療開始直後:体が薬の作用を初めて経験するとき。
  • 増量時:薬の量を増やしたとき(新しい濃度に体が慣れるまでの間)。

吐き気が落ち着くまでの期間の目安

個人差はありますが、多くの場合、吐き気や胃の不快感は数週間から1〜2ヶ月以内に徐々に軽くなり、体が薬に慣れていくとされています。体が慣れてしまえば、同じ量でも吐き気を感じにくくなります。この「胃腸の慣れ」の時期を上手に乗り越えることが、治療を成功させるための鍵です。

吐き気が強いときの3つの対処法

食事の工夫・投与タイミングの調整・医師への相談、3つの対処法で吐き気を乗り越えましょう。

① 食事の「質」と「量」を見直す

薬で胃の動きがゆっくりになっていることを考えて、食事内容を工夫しましょう。

  • 少量ずつ食べる(小分けにする):一度にたくさん食べると胃に大きな負担がかかります。食事の回数を増やしてもいいので、1回の量を減らしましょう。
  • 油っぽいもの、甘すぎるものを避ける:脂肪分は消化に時間がかかり、胃の動きをさらに遅くしてしまいます。揚げ物やクリーム系の食べ物は控えめにしましょう。
  • 水分と食物繊維を意識する:脱水は吐き気を悪化させます。こまめな水分補給を心がけましょう。また、野菜や海藻類などの食物繊維は胃の不調を和らげる助けになりますが、食べ過ぎには注意が必要です。

② 薬の投与タイミングと生活習慣の見直し

  • 薬の投与を夕方以降にする:吐き気が出やすい時間帯を寝ている間にずらすため、夕食時や寝る前に投与する方が楽に感じる方もいます。(必ず医師の指示に従ってください)
  • ゆっくりと食事をする:早食いを避け、時間をかけて食べることで、脳が満腹感をしっかりと感じやすくなります。
  • すぐに横にならない:食後すぐに横になると胃液が逆流しやすくなります。食後2~3時間は体を起こしておきましょう。

③ つらい時は我慢せずに医師に相談する

吐き気がひどく、日常生活に影響が出る場合は、我慢せずに必ず処方した医療機関・医師に相談してください。

  • 用量の調整:医師の判断で、一時的に薬の量を減らして吐き気を落ち着かせることがあるかもしれません。ただし、自己判断で薬をやめたり、量を調整したりするのは絶対にやめてください。
  • 吐き気どめ薬の利用:症状に応じて、吐き気を抑える薬(制吐剤)を一時的に処方してもらうことも可能です。

こんな症状は要注意:すぐに受診すべきサイン

急激な嘔吐・激しい腹痛・黄疸などの症状が出た場合はすぐに医療機関へ。脱水防止のため水分補給も重要です。

稀ですが、急激な嘔吐、激しい腹痛や背部痛、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)など、いつもと違う強い症状が出た場合は、すぐに医療機関に連絡してください。また、嘔吐を繰り返すときは脱水になる危険もあるので、無理のない範囲で、こまめに水分補給を心がけましょう。

まとめ

GLP-1の吐き気は薬が効いている証拠。食事・生活の工夫で乗り越えられます。

GLP-1製剤による吐き気は、薬が効果を発揮している証拠であり、体が薬に順応していく自然な体の反応です。この副作用を理解し、食事や生活習慣を工夫することで、多くの方がこの時期を乗り越えられています。

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症状が急に悪化したり、不安になったりしたときに、すぐに医師に相談できるよう、スリマルを利用して、治療への一歩を踏み出しましょう。

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